国立科学博物館の産業技術史資料情報センターの事業として、様々な産業分野の専門家により産業技術史を整理し公開しています。昨2024年度は「産業用ロボット技術の系統化調査報告」がまとめられ、「技術の系統化調査報告書 (第34集)」としてセンターのホームページに公開されました。
https://sts.kahaku.go.jp/
さらに本報告書をベースとした産業技術史講座が9/13(土)に国立科学博物館上野本館にて開催されます。
本講座では、産業用ロボットに関する産業史・技術史について解説します。
産業用ロボットは1960年代の米国におけるユニメーションの製品化に端を発し、1980年のロボット普及元年以来、日本製ロボットは圧倒的な世界シェアを確保してきました。しかし、2010年代以降世界のロボット市場は圧倒的な中国需要に支えられて大きく成長しましたが、同時に中国製ロボットの急成長も始まっています。技術的には、1980年代の機械技術、1990年代の電子技術情報処理技術の進歩に支えられ、1980年当時のごく初歩的な機能性能しか持ち得なかった産業用ロボットは、2000年ころには高度な制御能力を備えた完成度の高い自動化機械へと進歩を遂げました。その後の開発競争は、機械としてのロボット機能性能の追求から、生産システム構成要素としての有用性追求へと変化していきました。同時に、顧客ごとの生産システム構築を担うシステムインテグレータとロボットメーカの関係強化が図られ、現在のロボット産業のが形作られてきました。一方、2010年代半ば頃から、日本ではSociety5.0に代表される社会全体の自動化IOT化に関わる機運の強まりから、非製造業用の産業分野でもロボット技術への期待が高まり、社会の強靱化のためのロボット技術の社会実装も見られます。
本講座は、これらの産業用ロボットに関する現状と課題も含め、現在の産業用ロボットの全体像の理解にご活用いただければ幸いです。
下記のURLからお申し込みください。
https://sts.kahaku.go.jp/diversity/lecture/index.php
配信元・問合先――――――――――――――――――――――――――――
小平紀生
日本ロボットシステムインテグレータ協会 (2024年度国立科学博物館主任調査員)
nkodaira418@icloud.com
09021883740