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[気鋭のロボット研究者vol.10]「測る」なくして「ロボ」はない【前編】/静岡理工科大学 理工学部機械工学科 飛田和輝准教授


本記事はrobot digest 2019年12月06日掲載記事を転載しております。

 

「人の生活・作業を支援するメカトロニクスシステム」をテーマに研究をする飛田和輝准教授。自走式のロボット(搬送車)の開発に取り組み、さまざまなセンサーで集めた情報から、ロボット自身が正確な位置を把握して動く。現状は福祉向けのものがメインだが「基礎となる技術は産業用ロボットにも通じる」と飛田准教授は話す。


福祉関連向け装置から産業用の無人搬送車(AGV)まで

「ロボットを動かすのに重要なのは、周囲の状況をいかにロボットに認識させるか」。

 

カメラで取り入れた映像から整備された道とされていない場所を認識する(飛田准教授提供)

 

 人の生活や作業を支援するシステムの研究を進める飛田和輝准教授は、福祉向けの車いす誘導ロボットや視覚障害者の支援ロボットの開発に取り組む。
 基礎となるのが、カメラやセンサーなどから得られる情報を利用して自らの位置や、周囲にある障害物を把握する技術だ。
 他にも、自動草刈り機にカメラを取り付け、整備された道とされていない場所を認識し、経路を決めるシステムを手掛ける。現在は福祉関連向けの装置やシステムだが、基礎となる技術は産業用の無人搬送車(AGV)にも転用できる。

 

手動の車いすに連結し、目的地まで誘導する

 

 大学時代はエンコーダー(機械的な位置の変化を検出するセンサー)の研究をしていたが、卒業後はロボット開発の部門に配属。今の研究内容につながる。
 当時は、それまで学んだ計測の知識を生かしながら、視覚障害者が病院内で目的地に迷わず行ける支援機器や、画像を認識してランダムに積まれた部品をつかむピッキングロボットの開発に取り組んだ。そして昨年、企業で活躍できる技術者を育てようと大学に戻った。

 「企業での経験は、開発する上でのコスト意識につながる」と飛田准教授は話す。「便利だがコストがかかりすぎて実用化が難しいものではなく、企業でも取り入れられる『使える技術』を心がける」という。 


――後編へつづく
(ロボットダイジェスト編集部 渡部隆寛)

 

飛田和輝(とびた・かずてる)
2002年電気通信大学大学院電気通信学研究科機械制御工学専攻博士後期課程修了、同大学サテライトベンチャービジネスラボラトリ研究員。04年日本精工。12年電気通信大学非常勤講師、15年自治医科大学客員研究員。18年から現職。1975年生まれ44歳。東京都出身。中学からトロンボーンを演奏し、現在でも年に1回ほどの演奏会に参加する。