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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1995Locomotion〈ロコモーション〉線形倒立振子モードを規範とする凹凸路面上の動的2足歩行制御


梶田 秀司機械技術研究所
谷 和男機械技術研究所

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

本研究はあらかじめ計画された歩行パターンを用いることなく凹凸路面上の動的2足歩行を実現する手法を提案するものである。まず,無質量脚をもつ理想的な2足歩行ロボットが片脚支持状態にあるとき,その重心が路面形状に応じて適当に設定された拘束直線上を動くような制御を加える。この時,ロボットの運動は拘束直線の傾きに依存しない線形ダイナミクス「線形倒立振子モード」に従うようになる。線形ダイナミクスが得られているため歩行軌道の設計は解析解に基づいて容易に行うことが可能となった[1][2][4]。 以上の理論に基づく歩行制御の有効性を示すため,平行リンクにより脚を軽量に構成した2足歩行ロボットMeltran IIを試作し歩行実験を行った(図.1,2)。さらにMeltran IIに超音波センサを取り付け,ロボット前方の床面高さを検出することにより自律的に階段歩行,障害物回避を行わせることに成功した(参考文献[3], 実験動画像)。 これらの研究は鉛直2次元平面(sagittal plane)内の歩行に限られていたが,文献[5]では線形倒立振子モードを3次元空間へ拡張して歩行実験を行った結果を紹介している。 1996年 計測自動制御学会論文賞受賞
写真 2足歩行ロボットMeltran II
写真 2足歩行ロボットMeltran II
図1 Meltran II 構造図
図1 Meltran II 構造図

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対応論文


梶田 秀司,谷 和男:線形倒立振子モードを規範とする凹凸路面上の動的2足歩行制御

計測自動制御学会論文集, Vol. 31, No. 10, pp. 1705-1714, 1995.
(リンク先:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sicetr1965/31/10/31_10_1705/_pdf)

関連論文


[1] S.Kajita, A.Kobayashi, and T.Yamaura: Dynamic walking control of a biped robot along a potential energy conserving orbit, IEEE Trans. on Robotics & Automation, Vol.8, No.4, pp.431-438, 1992

[2] 梶田,谷:凹凸路面における動的2足歩行の制御について,計測自動制御学会論文集,Vol.27, No.2, pp.177-184, 1991

[3] 梶田,谷:実時間路面形状計測に基づく動的2足歩行の制御,日本ロボット学会誌,Vol.14, No.7, pp.1062-1069, 1996

[4] 梶田:線形倒立振子モードを規範とする動的2足歩行ロボットの実時間制御,機械技術研究所報告第171号,1996

[5] S.Kajita, O.Matsumoto and M.Saigo: Real-time 3D walking pattern generation for a biped robot with telescopic legs, Proceedings of IEEE International Conference on Robotics and Automation (ICRA2001), pp.2299-2308, 2001.5.24