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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1964Manipulation〈マニピュレーション〉指の機能の工学的研究


山下 忠東京大学大学院

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

1960年は,制御工学関係者にとって,記憶に残る年である。私のメモリー には,次のような項目があります:IFAC(International Federation of Automatic Control, 国際自動制御連盟)が最初の世界会議をモスクワで開催,新トレンド(= 状態空間モデルに基づく「定理・証明」型の理論)論文への大転換,制御工学 科の誕生(東工大,九工大)・・・・など。

高橋安人教授がカリフォルニア大学に転出された後,東大生研の森政弘研究 室では,工場のオートメ化に役立つ研究への模索が行われていた。修士論文の テーマ打ち合わせでは,私の提案にはゴーサインが出されなかった。「人海戦 術的生産ラインの解消」を目指すこととなった。

この種の研究へのヒントを期待して,義手に注目した。調査結果は「義手の 効用は,機能ではなく,装飾面にある」と出た。「どのような機能を実現すべき か」とアプローチし,試作品にチャレンジすることにした。手作り品とその応 用についてまとめたのが,この論文である。