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「ロボットをデザインして動かそう!」(2/3) 全6回中後半4回分の報告


日本ロボット学会ダイバーシティ推進委員会 星野由紀子


東京大学情報システム工学研究室の協力により、全6回で、女子中高生が、どんなロボットを作るかということのデザインから行い、一通りロボットを作り上げてプログラミングを行うところまでを行う講座を実施しました。

豊島岡女子学園の中学3年生、高校1年生の希望者8人が講座に参加しました。

本イベントは、情報システム工学研究室の学生の研究の一環としても行われています。

11月の日曜日に行われる前半2回でロボットのデザインを行い、冬休み中に予定されている後半4回でロボット本体および行動を実装し、イメージ動画を撮るというのが今回のカリキュラムになっています。


〇第3回  2023年12月26日 10:00~17:00 東京大学情報学環オープンスタジオ中山未来ファクトリーにて

久しぶりにメンバーが集まり、まずは、情報システム工学研究室博士課程1年の市倉さん、学部4年生の澤田さんから、スライドを使ってこれまでの流れの復習がありました。

 


そして、いよいよ、ロボットと対面です。みんながデザインしてきたロボットを期末テスト期間中に研究室の学生で形にしていました。どちらもロボットも外装はふわふわとした生地で、みんなのこだわりが形になっていました。

 


どのようにロボットを作ったのかという説明のあと、さっそくコンセプトムービー撮影のために必要な基礎知識の説明がありました。具体的には、ロボットをどうやって動かすか、目のディスプレイをどう変更するか、ほほや頭の飾りのLEDをどうやって変更するか、声をどうやって合成して出すかの説明を受け、実際に自分たちで作った絵コンテに従ってどう場面を表現するかを考えて要素をPythonで準備していきました。

 


実際に1本目の動画を自分たちで撮影してみました。


〇第4回  2023年12月27日 10:00~17:00 東京大学情報学環オープンスタジオ中山未来ファクトリーにて

撮影を始めて2日目です。自分たちがとりたいシーンにあわせて生徒たちは私服や制服で集まりました。今日も各チームともに、動作、音声、目の表情などをプログラミングしてシーンの撮影をしていきます。


くろみつ班は動きを作る人、音声を作る人という分担で次のシーンの動きをどんどん作っていきました。動きの再生速度を早くしたりする方法を教えてもらいました。

 


柏木班は、シーンのための動きやLED、音声を用意しつつ、研究室の先生と学生のおかげでロボットがワイヤレスで動くようになったので、昨日とれなかった大きな動きをするシーンをとります。

 

 

ただ、時々、「柏木さん」の動きがおかしくなって、学生や先生がデバッグをする一幕も。その間、生徒たちは、絵コンテからどのような撮影をするか、何をしゃべらせるか、どう撮影するかなどのプランを考えていきます。

 

 

くろみつ班は、中山未来ファクトリーの入口近くで一緒に遊ぶシーンを撮影しました。オセロで遊ぶシーンを撮影します。

 


柏木班は、柏木さんのデバッグをしながら動きを作っていき、雑踏の中の柏木さんの撮影をしたりしました。生徒やまわりの先生等も含めて、みんながエキストラとして足を撮影したりしました。

 

 

それぞれの班が、絵コンテを膨らませてどんどん実際のシーンにしています。どちらも順調に進んでいます。


〇第5回  2023年12月28日 10:00~17:00 東京大学情報学環オープンスタジオ中山未来ファクトリーにて

本日も撮影3日目。各班ともに撮影をどんどん進めます。


くろみつ班は、入口で一緒に音楽ゲームをするシーンの撮影を行いました。生徒4人でどんどん試したりタイミングを調整したり、自由にサーボのOnOffもできるようになり、学生の市倉さんがいなくても進められるようになってきました。

 


そのあと、外でボール投げをして遊ぶシーンを撮影しました。

 

 

柏木班は、ワイヤレスで動かせるようになり、プログラミングについて少し勉強しながら、ジョイスティックで柏木さんを操作できるようになりました。

これを使って、用務員さんとのシーンを撮影していきます。

 


さらに、廊下をだきあげて動かすシーンやおやすみなさいのシーンなども撮影します。動画編集も自分たちで行い、音も入れていきました。

 

 

くろみつチームは、午後は、くろみつの目を新しく自分たちでデザインしたものを表示できるようにするのと、カメラを使った画像認識に挑戦しました。ROSの勉強も少し行い、誰かがカメラの前にきたらくろみつが手をあげるというプログラムを作って動かしてみました。

 


柏木チームは、最後のシーンを午後に撮影し、その後アフレコ用の台詞を作りつつ、動画編集して動画を仕上げていきました。

 


生徒のみなさんは、自分たちで進められるようになってきており、それぞれのこだわりもしっかり時間をかけて形にしていっています。そして、時々、ロボットが動かなくなることがあり、その時は、学生たちががんばってデバッグして動くようにしています。

3日目を終えて、ほぼどちらの班も動画を仕上げることができました。


〇第6回  2023年12月29日 10:00~17:00 東京大学情報学環オープンスタジオ中山未来ファクトリーにて

本日、最終日です。今日はお楽しみ企画を行いました。

半日で何をやるかを学生さんが考えていましたが、近藤科学のKXRを使ったロボット組立か、くろみつと柏木さんを使ったコラボ動画撮影かということをきいたところ、5人が組立を希望し、2人がコラボ動画の撮影を希望しました。(1人欠席でした。)


KXRのマニュアルのあるロボットを製作するというチームは、それぞれ1人一体ずつ組み立てを行いました。一心不乱に組み立てをやっており、電動ドライバーもつかこなしてどんどん形にしていっていました。非常に楽しそうでした。
組み立て班のうちの1人はオリジナルでくろみつの尻尾を作ろう!ということで、しっぽづくりをがんばってみました。

 


そして、2人は、コラボ動画をとろうということで、動きを作ったり、しゃべりを作ったりしました。今日は、くろみつの無線化に手間取り、結局有線で動かすことにしました。

 


そして、16時ごろ、いったん作業等は手を休めてもらい、ラップアップを行いました。

くろみつと柏木さんの誕生会ということで、ケーキを用意して、作ったコンセプト動画をおひろめしました。けっこうどちらの動画もよくできていました。

 


くろみつの不思議な性格ならかわいい動きと、柏木さんの少しおとぼけなところもおもしろかったです。

 


最後、組み立て班の人は、組立てて動かすところまでやりました。研究室の稲葉教授とも、今後どのように研究を進めたらいいか、話をしたりしていました。

 


11月からの長丁場でしたが、生徒たちはかなり満足していた様子でした。自分たち自身でどのようなロボットを作るかのコンセプトから考え、実際にデザインして形にし、それを使って撮影を行ったということで、愛着などもわいているようでした。


今回もアンケート調査を行いましたが、人数が少ないため定性的な結果を報告します。全体的にロボットにさらに興味がわき、将来のキャリアとしてロボットの仕事につくか、あるいは、工学の仕事につきたいという人が多かったです。

また、今後について、ロボットを作る、ロボットの最新技術を知るというところに興味を持っている人が多かったです。

さらに、将来については、将来がわからないことへの不安ではなく、目標は定められており、そこに達成できるかどうかの不安を感じているとのことです。キャリアへの考えは進められており、あとは実現に向けてどうするかという段階に入ってきているようでした。

もっと日数が長くてもいいので、組立もしたかったという方や、学校の探究の課題にロボットを取り入れたいという意見もあり、確実にロボットへの興味と、ロボットについての知識が参加した生徒のみなさんに増していることがわかりました。

 


以上です。