「Hapticsの発展が拓く人とロボットの未来」特集について
日本ロボット学会誌42巻9号「Hapticsの発展が拓く人とロボットの未来」
【展望】
- 触覚研究のこれまでとこれから(大岡 昌博・小村 啓)
【解説】
- 触覚共有の活用と課題(田中 由浩)
- ロボットのための人のような触覚センサ(野間 春生)
- 主観的な触感の数値化とその応用(奥山 武志・田中 真美)
- IOWN オールフォトニクスネットワークにおける触覚を伴った遠隔ロボット制御(高橋 宏和・外村 喜秀・市川 潤紀・山口 拓郎・持田 康弘・益谷 仁士・高杉 耕一)
- 皮膚への温度刺激ディスプレイについて(佐藤 克成)
- MEMS および材料技術を活用した触覚ディスプレイ(石塚 裕己)
- 牽引力錯覚を利用した人間支援インタフェース(田辺 健)
- 腱への経皮的振動刺激で生起する運動錯覚の制御と応用(小村 啓)
Society 5.0が目指す人中心の新しい社会の実現に向けて,すべての人とモノを繋げるべく様々な技術が開発されています.人が持つ技術や経験,また人の心にも関連する触覚を活用することが,この実現の鍵となると考えられます.本特集ではHapticsに関わる様々な研究者に,現在の技術と今後の展望,そしてHapticsがどのように人やロボットの未来を形作るかについて,それぞれのご研究を中心にご解説いただきました.まず,大岡昌博先生には触覚研究のこれまでとこれからについての展望をご解説いただきました.そして,田中由浩先生には人と人,人とロボット間での触覚の共有について,高橋宏和先生にはIOWNオールフォトニクスネットワークによる触覚を伴った遠隔ロボット制御についてご解説いただきました.また,ロボットに触覚を持たせるための要素技術として,野間春生先生にはロボットに搭載する触覚センサについてご解説いただき,奥山武志先生には触覚計測の医療応用に向けた研究についてご解説いただきました.また,人に任意の感覚を提示する技術について,佐藤克成先生には温度刺激ディスプレイについて,石塚裕己先生にはMEMSと材料技術活用した触覚ディスプレイについて,さらに錯覚現象を利用した提示技術として田辺健先生には牽引力錯覚を利用したインタフェースについてご解説いただき,企画担当委員の小村も運動錯覚について解説をいたしました.
本特集で解説させていただきましたとおり,Hapticsは,工学,心理学,生理学など,様々な分野にまたがる研究分野です.本特集を通じて,Hapticsに興味を持っていただき,今後のHapticsの発展に少しでも寄与できれば,これ以上の喜びはありません.本特集は,執筆者,編集委員,および事務局の皆様の大変なご助力により成立に至りました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.(小村 啓 九州工業大学)