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「ロボットをデザインして動かそう!」(1/3) 全6回中前半2回分の報告


日本ロボット学会ダイバーシティ推進委員会 星野由紀子


東京大学情報システム工学研究室の協力により、全6回で、女子中高生が、どんなロボットを作るかということのデザインから行い、一通りロボットを作り上げてプログラミングを行うところまでを行う講座を実施しました。

豊島岡女子学園の中学3年生、高校1年生の希望者8人が講座に参加しました。

本イベントは、情報システム工学研究室の学生の研究の一環としても行われています。

11月の日曜日に行われる前半2回でロボットのデザインを行い、冬休み中に予定されている後半4回でロボット本体および行動を実装し、イメージ動画を撮るというのが今回のカリキュラムになっています。


〇第1回  2023年11月12日 10:00~17:00 東京大学工学部二号館 機械演習室にて

情報システム工学研究室博士課程1年の市倉さん、学部4年生の澤田さんから、スライドを使って全体の説明がありました。「本講座では、正解はない、作りたいものを作りましょう」という言葉がありました。

 


まずはアイスブレイクとして自己紹介を行いました。事前にSlackに自分の好きなものや最近の出来事に関する写真を4枚あげてあり、その中の1枚を選んで説明しました。どの写真が気になるかということや質問など、わいわいとした雰囲気が出てきました。最近のお出かけや推し活の話題で盛り上がったり、部活の話が出たりしました。

 

 

次に市倉さんより、ロボット作りの説明がありました。一番重要なのは完成後のシナリオがあることだということで、過去の研究室のロボットである「Mamoru」を実例に、どのように発想していくか、そこから何をキーワードとして取り出すのかという説明がありました。ディズニーのストーリーボードの英語の動画も見て、これから今日はみんなでストーリーボードを作るというゴールが示されました。

 


ここから、4人ずつ「ともだちロボット」グループと「いばしょロボット」グループに分かれて議論を深めます。

それぞれ、自分の経験から、ともだちだったり居場所があると感じる瞬間だったりを掘り起こし、そこから5つほど大事だと思うものを取り出し、メンバーみんなで共有します。

そこから、それぞれが出した場面やキーワードに関して、どれは近い意見なのか、どれが大事だと思うかということを話し合いながらまとめていき、それぞれのロボットのキーワードを取り出していきます。

 


さらに、ロボットだと得意なこと、ロボットには難しいことなども考えながら、どういうことができたらいいか、さらには設定を考えたり、粘土で形を作ったり、名前を考えたりしながら、より具体的にロボットについて深めていきます。

 

 

いつも一緒にいたいロボットならどういう形がいいのか、どう動いたらいいか、どういうことができたらいいか、感情によって目はどうなるか、ほほは色を変えたりしたい、耳を動かしたい、など、最初は、できることだけを考えていたのが、どんどんとやりたいというアイディアがでるようになり、楽しい設定や機能が載ったロボットのストーリーボードができました。

 


途中、昼休みにはみんなで研究室が準備をしてくれたカレーを食べて話をし、午後も休みなく続けていて、あっという間に終了の時間に。最後にそれぞれのグループの結果をきいたりアンケートを書いたりして、おいしい甘いケーキもほおばりながらギリギリの時間まで活動をしました。

 


次回は、このストーリーボードをどう実現するかを考えるとともに、実際にロボットで使うパーツやプログラミングについての要素技術を学ぶ予定です。


〇第2回  2023年11月19日 10:00~17:00 東京大学工学部二号館 機械演習室にて

今日は、午前と午後で全く違うアクティビティを行いました。

まず、前半はロボット作りに必要な基礎知識や要素技術について学びました。市倉さん、澤田さんが用意したスライドを見ながら、基礎知識として、ソフトウェアのモジュール化の話やロボットを動かすためのROSというシステムの話をききました。

 


その後、2人一組になって、その1組に1人、大学院生や先生がTAとしてつき、実際にロボットを動かしてみました。

近藤化学のKXRをベースにJSKオリジナルの部材と組み合わせて作られた小型の人型ロボットを1組につき1台用意してもらい、説明用スライドをみるパソコンとプログラミングをするパソコンを各1台ずつ用意してもらい、FSRを触るとロボットが反応するというプログラムを試しました。

みんなでまずサンプルを動かして、そのあと、順を追って、1つずつプログラム解説をききながらオリジナル要素を試してみて、さらにTAからの解説をきいて応用にトライするチームも。ROSのトピックについても学びつつ、触って表情がかわると盛り上がりました。

さらに、時間が早く終わったので、澤田さんによるかわいい目の描き方講座や、まさかのEUSLISP講座も行われ、オリジナルの動きを作ったりしました。

 


お昼はみんなでご飯を食べたあと、東大の構内を散歩しました。

 


午後は前回分けたそれぞれのグループでロボットを具体化する作業です。前回、ストーリーボードを書いたので、それをさらに具体化して、最後はイメージビデオの絵コンテを書く、というのが今回のゴールです。


〇いばしょロボット班

まず、ストーリーボードに従って、みんなで紙粘土で実物大の形を作っていきました。驚くほど短時間にハイクオリティな「柏木さん」ができました。実際に形にしてみるといろいろとイメージがさらにわきます。

そこから、大事にしたいポイントをどうやったら伝えられるかということで場面をかんがえて、絵コンテを作っていきました。たとえば、おしつけがましくならないように、人から話しかけられるのを待つ、など、伝えたいポイントを確認していきます。

さらに、先ほど作った粘土の「柏木さん」の3Dモデルを研究室の学生がその場で作り、色などを確認しました。

 


〇ともだちロボット班

ともだちロボットは、毎回、ロボットの「くろみつ」からの絵日記がDMで届くというものがあるが、それをどのように作っているのかという技術的説明がありました。

それからイメージムービーの話を考えました。こちらもアピールポイントをストーリーボードから考えました。情報の正確性とポンコツ度、遊ぶならどういう遊びを一緒にしたいのか、など、具体的な場面で考えて、それぞれどういうことなのかを深めていきます。ゲームは具体的にどういうゲームをするのかを考え、そうするとどの機能が大事になるか、またゲームをやる前後でどういう反応をするのか、など深めていきました。

 


どちらの班もギリギリまで考えて絵コンテを作り上げました。どちらもしっかりポイントの入ったものになっていました。ロボットに関しては、中身は今日の午前中に動かしたロボットが骨の部分にあたりますが、外観は3Dプリンタで作るので、JSKの担当学生さんが生徒にいろいろ確認もしていました。

 


先週も今週もまったく休憩なしでみんな集中していろいろ考えられました。次回は、期末テストが終わり、冬休みに入ったときに連続で4日間活動をして、できあがった部品を組んでハードウェアを仕上げ、ソフトウェアを組んで、最後、動画の撮影までがんばります。


終了後、研究室のLOVOTも出てきて、みんなLOVOTを囲んでかわいがっていました。

 


以上です。