本記事はrobot digest 2019年11月29日掲載記事を転載しております。
12月18日から21日の4日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「2019国際ロボット展(iREX2019)」が開催される。世界最大級のロボットの専門展だ。今回展は前回の2017年展を25社・団体上回る637社・団体が出展。小間数は前回展よりも285小間多い3060小間で、過去最大規模での開催となる。開幕まで1カ月を切った11月19日には記者陣を前に、小笠原浩運営委員長(安川電機社長)や主催者である日本ロボット工業会(会長・橋本康彦川崎重工業取締役)の矢内重章事務局長などが概要や見どころを発表した。
産ロボゾーンが特に充実
「ロボットは人を助ける存在」と話す小笠原浩運営委員長
今回展の開催テーマは「ロボットがつなぐ人に優しい社会」。
「ロボットは人の仕事を奪うものではなく、人に近いところで共存し、人を助ける存在になる。人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)など技術の進化もそれを後押しする」と小笠原運営委員長は開催テーマに込めた思いを語る。
今回展の3060小間のうち、大半の2379小間を産業用ロボットゾーンが占める。前回展比で367小間と大幅に増加しており、サービスロボットゾーンなどと比べても大幅に伸びた。
今回から新たに、産業用ロボットゾーン内に「ロボット SIer ゾーン」を設けた。「これはロボットのシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)に出展してもらうスペース。昨年工業会の内部組織としてSIerの団体であるFA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会、会長・久保田和雄三明機工社長)が発足した。メーカーとSIerは、ロボット産業にとっての『車の両輪』」と矢内事務局長は話す。
海外からの出展も前回展の88社・252小間から、95社・389小間へと増えた。これまでも出展があったアメリカやイタリアなどに加え、今回新たにモナコやルーマニアからも出展があり、出展国は16カ国と過去最大になった。
12万人を超える来場者でにぎわった前回展
「SIerゾーンを設けた」と話す矢内重章事務局長
会期中には併催事業も多数
国際ロボット展には公的な団体もブースを構え、会期中に併催イベントなども数多く開かれる。19日の会見では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)、東京都立産業技術研究センター(奥村次徳理事長)、日本ロボット学会(会長・浅田稔大阪大学特任教授)の担当者が、各団体の展示や会期中に開くイベントを紹介した。
「ロボット11体を展示する」と小林彩乃氏
NEDOのロボット AI 部の小林彩乃さんは、 NEDO ブースの展示を紹介。「ロボットが作る明日の世界」をコンセプトに、 NEDO の開発プロジェクトの成果を中心にロボット11体を動く状態で披露する。12月20日には会場内のメインステージで「NEDOロボット・AIフォーラム2019」というイベントも開催する。
また、NEDOブースの隣には経済産業省と共同で2020年10月に開く「ワールドロボットサミット2020」のゾーンも配置。この大会に先立ち、「製品組み立てチャレンジ」など一部競技を会場内で試行する。
「共同開発したロボットを多数展示する」と言う三尾淳部長
東京都立産業技術研究センターの三尾淳プロジェクト事業推進部長は、同センターの共同開発事業の成果の中から25種類のロボットが展示されることをアピールした。
いずれも中小企業と共同で開発した製品で、サービスロボットも多いが、無人搬送車など製造現場で使える製品も多数展示される見通しだ。
IRHの取り組みを紹介する細田祐司事務局長
日本ロボット学会の細田祐司事務局長は「インターナショナルロボットハイスクール(IRH)」という取り組みを紹介した。これは国内外の高校生を対象に、産業用ロボットに接してもらうことで興味を高めてもらうイベントだ。会期中に各国の高校生が会場を回って最先端のロボット技術を調査し、発表する。
11月14日時点で日本の他にもフィリピンやメキシコからも申し込みがあり、6校の参加が確定していることなどを紹介した。
ロボットダイジェストでは国際ロボット展に関し、開幕までの間に各社の出展内容などを多数紹介する。会期中には、会場からの速報記事なども掲載する計画だ。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)