第153回ロボット工学セミナー実施報告
「力触覚・近接覚を活用したラスト1センチのロボットマニピュレーション」
日時:2024/06/25(火)10:00-16:50
場所:オンライン(Zoomを使用)
参加者:114名
オーガナイザ:濵屋政志(オムロンサイニックエックス株式会社)
サブオーガナイザ:福原洸(東北大学)
セミナーURL:https://www.rsj.or.jp/event/seminar/news/2024/s153.html
概要
近年,力触覚・近接覚を活用したマニピュレーションの研究が盛んに行われている。本セミナーは、力触覚・近接覚センサやロボット運動学習に関する研究をされている新進気鋭の研究者の方々をお招きし、最新の研究事例をご紹介していただいた。セミナーはオンラインで、各講演者は50分の発表、10分の質疑応答で開催された。
第1話 近接覚センサ"TK-01"を用いたリアルタイム・ロボットマニピュレーション
大阪大学 小山 佳祐 先生
小山先生が開発されている近接覚センサの意義と原理と進化について詳細にご説明いただいた。また、近接覚センサの応用として、柔軟手首機構を組み合わせたバラ積みピッキングの事例もご紹介いただいた。
第2話 Leveraging Active Compliance Control for Contact-Rich Manipulation with Rigid Robot Manipulators
オムロンサイニックエックス株式会社 Cristian Beltran-Hernandez 様
力覚を使用したコンプライアンス制御の動作と剛性パラメータを学習し、多様な部品挿入が可能となる研究や、少数のデモンストレーションから様々な接触を伴う作業が遂行できる研究をしていただいた。
第3話 人のように繊細なマニピュレーションを目指した触覚情報処理
早稲田大学 船橋 賢 先生
触覚センサのスタートアップに所属し、社会実装を進めてきた話をご紹介いただいた。アカデミアでは、触覚を使用した多指ハンドによる物体操作の研究をされており、最新の研究事例をご紹介いただいた。
第4話 ロボットの運動生成における力触覚と視覚の統合学習
株式会社日立製作所 一藁 秀行 様
触覚と視覚を統合したロボット運動学習を人間の脳の機能に着目してアプローチする研究についてご紹介いただいた。ボトムアップ・トップダウンを活用した視覚注意モデルや、脳の感覚の分散統合処理を使用したマルチモーダル学習手法などについて詳細にご説明いただいた。
第5話 接触センサを用いたインタラクティブなマニピュレーション
三菱電機株式会社 太田 佳 様
画像型触覚センサによる、部品の嵌合部分の認識、物体の積み上げ、一連の組立動作に関する最新の研究成果をご紹介いただいた。また、現状の触覚センサの課題や意義も詳細にご説明いただいた。
まとめ
基本的にスケジュール通りに進行し、大きな滞りなくセミナーを開催できた。どの講演も大変素晴らしく、近接覚・力触覚の意義を再認識できた。目に見えない地味な作業であるが、対象に近いラスト1センチの制御の研究を続けていくべきだと感じた。また、114名という数多くの聴講者にご参加いただき、とても素晴らしい質問をたくさんしていただき、講演内容の理解が深まった。特に、英語講演においても、英語で数多くの質問をいただき大変助かった。また、サブオーガナイザの福原先生には、スムーズに質問を扱っていただいた。最後に、講演者の皆様、聴講者の皆様、運営スタッフの皆様に感謝を申し上げます。