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追悼 森先生への感謝と御礼(芳司俊郎)


 修士課程で森研究室に入ると、先生から「自動車はブレーキで進み、アクセルで止まる。」、「生産について考えるときには安全のことを考え、安全のことを考えるときには生産のことを考える。」これらのことについて考えてみなさいとお話いただきました。「バランスが大切ということでしょうか」と申し上げたところ、「仏教に、二見に堕すなという言葉があります。アクセルとブレーキは両方ともしっかり機能するからこそ自動車は全機する。もっとよく考えてみなさい。」とおっしゃいました。先生は「アクセルとブレーキや、生産と安全を天秤に掛けるようでは二見に堕している。しっかり生産するためにはしっかりした安全が必要だ。」とおっしゃったのだと反省いたしました(もっと深いお考えをお持ちだったと思いますが、ここまでしか理解できませんでした)。修論では、出力するときには出力しないことを考える仕組みを題材にしました。
 先生は自由や自在についても考えるように御指導くださいました。事故を結果(被害)で論ずる(被害がなかったら褒め、被害が出たら非難する)ようでは後手後手なので事故から解放されません。安全か否かは時々刻々変化します。先生の御示唆から、自動車はその利弊を天秤に掛けるよりも、事故の前に停止することが重要と考えられます。それにより自由に運転することができるからです。先生からいただいた課題には未だに答えを出せていませんが、まとまりましたらご報告したいと思います。御指導ありがとうございました。心より御礼申し上げるとともに、ご冥福をお祈りいたします。


森研OB 芳司俊郎