第1回:
- 開催日時:2024 年 11月 16 日(土) 13:30~17:00
- 場所:豊島岡女子学園情報教室
- 対象:高校1年・2年の希望者、卒業生の大学生
- 参加人数:高校生7名、卒業生の大学生2名
- 講師: 星野由紀子(川田テクノロジーズ株式会社・日本ロボット学会),宮田なつき(産業技術総合研究所・日本ロボット学会)香月理絵(株式会社東芝・日本ロボット学会)
第1回補講:
- 開催日時:2024 年 11月 30 日(土) 13:30~16:30
- 場所:豊島岡女子学園情報教室
- 対象:第1回を受講した人のうちの希望者
- 参加人数: 全部で7名程度
- 講師: 星野由紀子(川田テクノロジーズ株式会社・日本ロボット学会)
第2回:
- 開催日時:2024 年 12月18 日(水) 9:00~15:30
- 場所:豊島岡女子学園情報教室
- 対象:中学2年生の生徒のうち希望者
- 参加人数:生徒 20 名
- 講師: 星野由紀子(川田テクノロジーズ株式会社・日本ロボット学会),宮田なつき(産業技術総合研究所・日本ロボット学会)
- TA:高校生 6名、大学生 2名
コミュニケーションロボット「スタックチャン」を題材に、組み立てとプログラミング体験、そして、GPTを利用して会話をするAIスタックチャンの体験をしてもらいました。
スタックチャンは、ししかわさんが開発したオープンソースのスーパーかわいいコミュニケーションロボットです。
今回は、まず最初に、高校生のみなさんに講座を受けてもらい、ある程度の期間、自分でもさわって理解を深め,中学生に教えるTAとなってもらいました.その後,中学生の人たちに,1日かけて組み立てからC言語を使ったプログラミング体験、そしてAIスタックチャンの体験をしてもらいました。
今回は、豊島岡女子学園の情報の先生にもサポートをしてもらいながら、学校のパソコンに開発環境を事前にインストールさせてもらい、実習を行いました。
また、スタックチャンの組み立てキットをあらかじめ人数分用意してもらいましたが,準備にあたっては株式会社アールティの支援を受けました。
まず、第1回で、スタックチャンの組み立てと、M5Burner(ファームウェア管理ツール)の使い方、VSCode(ソフトウェアの開発環境)の使い方をレクチャーしました。組み立てで少し難しいところがあったり、GitHub(ソースコードの共有環境)からソースコードを取ってくるところで、大人数で同時にやると時間がかかってしまうことがわかったりしましたが、高校生のみなさんはなかなか飲み込みも早く、全員が組み立てと簡単なC言語プログラミングを行うことができました。
AIスタックチャンの体験もできました。
第1回の補講では、C言語プログラミングをもう一度教え、もともとあるテスト用プログラムを書き換えて、自分なりの動きやセリフを作ってもらったりしました。高校生はすでに学校の授業でPythonも習っているので、飲み込みも早かったです。プログラムを直して、BuildしてM5StackにUploadするというような操作もすぐにできるようになりました。
そして、第2回では、中学生の希望者の生徒の方向けに朝からの1日講座として実施しました。中学生2~3人につき1人は高校生のTAがつくので、高校生のみなさんの活躍により、中学生の参加生徒のみなさんのスタックチャンも無事組みあがりました。
C言語の説明を聞いたあと、テストプログラムを一部かきかえて自分なりの動きを作ったりするところでは、上手に使いこなして、独自の動きを作れる人が大勢居て、スタックチャンが自分が思ったように動くと楽しそうにしていました。プログラミングでも、TAのみなさんのフォローがすばらしく、エラーが出た中学生の生徒さんたちの画面をみながら一緒にトラブルシューティングをしていました。
最後はAIスタックチャンをM5Stackに焼いて、おしゃべりの体験をしました。みんないろいろなことをスタックチャンに話しかけていましたが、中にはかなりマニアックな話でもりあがっている子も。今回用いたAIスタックチャンのコードは、FunctionCallの機能も使っていて、天気などもきけたので、さらに盛り上がっていたように思います。
後日,中学生のみなさんにアンケートをとりました。結果はこちらになります。
これによると、みんな続きをやりたいと思ってくれるほどプログラミングを楽しんでもらえたようです。プログラミングした結果が、目の前の動きになるので、画面の中だけで動くのとはまた違う印象があったようです。
また自由回答では、
- もっとプログラミングについて知りたい
- 思い通りの動きをスタックチャンがしてくれてうれしかった
- スタックチャンのおかげでロボットやプログラミングに親しみが持てた
- 家や学校でみんなに見せたい
- 今回はうまくいかなかったけれど、もっといろいろ動かせるようになりたい
- もともとプログラミングを少しやっていたが、とても楽しかった
といった意見をもらいました。
今回のこの講座をきっかけに、ロボットに興味をもって、自分でいろいろ作ってみたいと思ってくれたら嬉しいです。
今回、動かすための準備の際、スタックチャンコミュニティのみなさまの協力をいただきました。ありがとうございました。
また、冒頭にも書きましたが、株式会社アールティには、スタックチャン組み立てキットについて、女子中高生にエンジニアリングを体験してもらうという本企画への支援をいただきました。本委員会の活動にも賛同していただいております。ありがとうございました。以下に株式会社アールティから寄せられたコメントを掲載いたします。
<株式会社アールティ様より>
株式会社アールティは、「Life with Robot® ~ロボットのいるくらしを実現する~」をビジョンに掲げており、AIやロボットのエンジニアを増やすことは会社の理念の一つでもあります。今回、日本ロボット学会を通じてこのような取り組みの機会を設けていただき、弊社製品スタックチャン アールティバージョンを利用したカリキュラムを行っていただいたことを嬉しく思います。
一般的には、AIやロボットの開発仕事は難しいと思われがちです。そうとはいえ、最初は誰もがキットの作成などから興味を持ってエンジニアの世界に飛び込んでくることを考えると、「学校で体験した」というきっかけは、この業界を知るためのとても良いトリガーになると考えています。
今回、取り組んでいただいたスタックチャンは、オープンハードウェアでもあり、ロボットキットとしてだけでなく、生成AIによる会話など様々な取り組みが知られています。スタックチャンは、かわいいロボットであることも特徴の一つです。今回のように、「かわいい」をきっかけにロボットの世界に飛び込んできてくれるのは、私たちは大いに「あり」だと考えています。女子高校生の皆様に親しみやすさを感じてもらい、今回の体験を通じて、この業界に飛び込むきっかけになれたらいいなと考えています。
アールティでは、エンジニアは、女性、男性であるよりも、1エンジニア個人として評価されるべきという考えから、女性向け、男性向けということには正直、こだわりません。しかし、現在の日本は、AI/ロボット業界で活躍するエンジニアのダイバーシティを考えると、世界的に見てもAI/ロボットエンジニアの女性の割合が低い水準であることはよく知られています。そのため、このような学生向けのロボット教育、とりわけ女子高向けの機会は、弊社としてもダイバーシティの一助となるCSRとして非常に意義のある取り組みと考えております。
AI/ロボットは次世代に向けて活躍できる分野でもありますし、興味をもって取り組むことができれば一生の仕事にしやすい分野とも言えます。学生の皆様にとって将来この業界へ飛び込んでくる入口の一つとして、この取組みがお役に立てることを願っています。
以上です。
日本ロボット学会ダイバーシティ推進委員会
星野由紀子、宮田なつき、香月理絵