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第161回 多様な駆動方式によるアクチュエータ技術の展開と応用(実施報告)


第161回ロボット工学セミナー実施報告
「多様な駆動方式によるアクチュエータ技術の展開と応用」


日時:2025年10月28日(火)10:00~16:30
会場:オンライン
参加者:37名
オーガナイザー:出原俊介(岡山大学)
サブオーガナイザー:長井隆浩(日立GEベルノバ)
セミナーURL:https://www.rsj.or.jp/event/seminar/news/2025/s161.html

 

セミナー概要

スマートフォンやウェアラブルデバイスをはじめとする電子機器の小型化が進む中,それに伴うアクチュエータ技術の進化が求められている.小型アクチュエータは,精密な動作を実現するための重要な要素であり,その性能向上がデバイス全体の性能にも大きく寄与する.本セミナーでは,電磁,静電,形状記憶効果,圧電,空気圧といった代表的な駆動原理を持つ小型アクチュエータを取り上げ,それぞれの動作原理や適用範囲,利点・欠点などについて紹介していただく. さらに昆虫を使用したサイボーグロボットについても紹介していただく.


講演1:静電フィルムアクチュエータとその応用技術

東京大学 山本 晃生

フレキシブルプリント回路基板(FPC)などの薄型電極基板を用いた高推力静電アクチュエータについて、その原理・構造を解説いただいた。薄く柔軟なフィルムを利用することで可撓性を持たせ、ソフトアクチュエータとしての応用が期待できるほか、透明フィルムを用いた透明アクチュエータの実現など独自の特長を紹介された。また、ロボット向け人工筋肉やインタラクションデバイスなどの応用事例、さらに制御・センシング技術の研究動向および今後の展望についても詳説された。


講演2:様々な素材と構造によるマイクロアクチュエータの開発とMEMSマイクロロボットへの適用

日本大学 内木場文男

電磁モータの小型化の限界を背景に、圧電材料・磁性材料・形状記憶合金などの機能性材料を利用したマイクロアクチュエータの開発について紹介された。さらに、MEMS技術を活用した静電アクチュエータやエアタービンアクチュエータなどの製作事例を示され、これらをmmサイズのマイクロロボットに実装した成果を報告された。


講演3:マイクロ電磁アクチュエータ

東京科学大学 進士 忠彦

永久磁石や微小コイル、弾性案内機構などをミリメートル以下のスケールで実現するための技術的課題とその解決法について講演された。厚膜磁石の形成・微細加工、レーザによる多極着磁、MEMS技術を用いたコイル製作、Deep-RIE法による弾性機構形成など、精緻な技術を紹介された。また、これらを応用したスマートフォンカメラ向けマイクロ電磁アクチュエータの開発事例も示された。


講演4:空気圧ゴム人工筋の開発と人支援機器への応用

岡山大学名誉教授 則次 俊郎

人に優しいアクチュエータとして注目される空気圧ゴム人工筋の構造と特性について講演された。マッキベン型人工筋や新規の湾曲型人工筋の紹介に加え、身体装着型立ち上がり支援装置や歩行支援装置の実証試験の様子が示された。さらに、産学連携により商品化された「パワーアシストグローブ」や、バルーン型アクチュエータを用いた非装着型介護支援パッドなど、福祉・介護分野での応用事例を紹介された。


講演5:サイボーグ昆虫:小さな生き物を動かす小さなシステム

南洋理工大学 佐藤 裕崇

生きた昆虫に小型無線コンピューターを搭載し、電気刺激によって動作を制御する「サイボーグ昆虫」の研究を紹介された。無線通信機能を持つマイクロコントローラーを搭載した「バックパック」システムの構造、神経筋への電極配置、刺激信号による飛行・歩行制御手法について詳述された。講演では飛行・歩行制御のデモ映像も披露され、災害現場での探索支援などへの応用について紹介された。


まとめ

本セミナーでは、異なる駆動原理・素材・スケールでの小型アクチュエータ開発に関する最新の研究成果と応用事例が紹介され、活発な質疑応答が行われた。小型アクチュエータ技術の今後の方向性を議論するうえで非常に有意義な機会となった。

最後に、ご講演をいただいた講師の皆様に深く感謝申し上げるとともに、セミナー運営にご尽力いただいたサブオーガナイザーおよび事務局関係者の皆様に厚く御礼申し上げる。


以上