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第157回 水中ドローンの最前線 革新技術から実務応用まで(実施報告)


第157回ロボット工学セミナー実施報告
「水中ドローンの最前線 革新技術から実務応用まで」

 日時:2024年11月22日(金)10:00~16:50

会場:オンライン
オーガナイザ:盛永明啓(長崎大学)
サブオーガナイザ:貞本敦史(株式会社 東芝 生産技術センター)
セミナーURL:https://www.rsj.or.jp/event/seminar/news/2024/s157.html


セミナー概要

近年,小型で安価な水中ドローンの登場により,水中のインフラ点検や海洋生物のモニタリングなどがより容易かつ効率的に行えるようになってきた.一方で,視界の限られるモニターを通しての操作や,テザーケーブルの取り回しなど,水中ドローンならではの扱いの難しさもあり,誰もが気軽に利用するためには解決しなければいけない多くの課題が残されている.本セミナーでは,これらの課題を解決する,水中ドローンの通信・制御に係わる最新技術について紹介する.また,水上ドローンにおける最新の研究も取り上げ,水中だけでなく水上におけるドローン技術の実務への導入事例をも紹介する.


第1話 「遠隔操縦型海中ロボットの入門から活用まで:極限環境ロボットとビジネスロボットは何が違うのか?」

講師:海洋研究開発機構 吉田 弘

概要:ROV を中心とした水中ロボットの紹介,研究開発から利用までの歴史,私達のような研究機関が利用する極限環境ロボットとビジネス用のロボットの大きな違い,そしてビジネスに水中ロボットを使うときに考慮すべき重要な点を紹介していただいた。


第2話: 「水中作業を効率化する小型軽量な水中ロボットの開発」

講師: 龍谷大学 坂上 憲光

概要:水中構造物のメンテナンスや考古学調査といった水中作業の効率化を目的とした、水中環境とロボットの間に力学的な相互作用が生じる水中作業を効率的に行うための遠隔操作型ロボットの開発とその機能の自動化について紹介していただいた。


第3話: 「水中ロボットの作業性向上に向けた水中光無線通信装置の活用と今後の展望」

講師: 島津製作所 末竹 哲也

島津製作所で開発された短距離ではあるが数十 Mbpsクラスの高速通信を実現する水中光無線通信装置について,実証実験や実証する中で明確になってきた濁りや太陽光などの外乱の影響,光の指向性により通信品質の悪化などの解決が必要な課題、今後の開発の展望などについて紹介いただいた。


第4話 「ドローンと推力偏向技術」

講師:徳島大学 三輪 昌史

概要:ドローンの姿勢制御性能を向上させ、環境適応能力を強化する推力偏向技術について、任意の姿勢を保持して飛行するドローンや、散水の反動を抑制するドローン、水中機動が可能な水空ドローンなどの事例をまじえて紹介いただいた。


第5話 「DIYドローンで切り開く水上・水中インフラ点検」

講師:夢想科学株式会社 泉 保則

概要:「次世代社会インフラ用ロボット現場検証」プロジェクトを経て開始された、インフラ点検を目的とした水上・水中フィールドに対応したドローンについて、開発経緯と実務導入事例について紹介いただいた。


総括

  •  講師の選定に時間を要したため、セミナー資料の提出が直前となるなどしたが、最終的に5名の講師が決定し、特にトラブルもなくセミナーを終了することができた。
  •  オンラインでのプレゼンテーションでは、水中ロボットの魅力を十分に伝えることが難しかった。実際に目の前で動作する様子を見せることができればいいが、会場の設定や講師の準備、聴講者の集客などの課題がある。
  •  セミナーでは、マイクを使用した質問よりも、Slidoを通じた質問の方が多く寄せられた。Slidoの匿名性により参加者は気軽に質問できる一方で、質問者の意図が伝わりにくいことや、回答の適切性を確認することが難しい場合があった。