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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1978Business〈企業の研究開発〉スカラロボット


この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

スカラロボットは山梨大学牧野先生の提唱で1978年に発足したスカラ研究会におい て開発された。名前の由来はSelective Compliance Assembly Robot Arm であり,名 前の通り縦方向の剛性が大きく,横方向の剛性が小さいため,

  • 横方向の倣い機能により部品挿入に適している。
  • 省スペースで大きな可動範囲を持つ。
  • コンパクトな構造で製作しやすい。
  • アームを回しても先端の姿勢が変わらず制御しやすい。
等の特徴を有する。

富士通はスカラ研究会に参加し,上記のコンセプトに基づくSCARAロボットの第1号機 を開発した(世界初)。この1号機は山梨大学の牧野研究室で各種の評価に活用された。 富士通ではこのロボットを商品化するとともに(図1,図2),アーム長の変更や クリーン化等も行い適用分野の拡大を図り,

  • プリント基板への部品の実装(図3)
  • 自動車電話の試験
  • クリーンルームでのMASKの搬送やハードディスクの試験(図4)
等への応用を実現した。 スカラ研究会での評価結果に基づいて,東芝をはじめ,スカラ研究会の参加各社も このスカラロボットを製品化し,商品として発売しロボットの一時代を築いた。図5は, 東芝において,家電製品の電子基板に異形部品を実装するラインに導入されたスカラロ ボットであり,マルチハンドの実装により,一度に数種類の部品の取り出し,挿入を実 現したものである。

図1 富士通「FAROT-4SB」写真
図1 富士通「FAROT-4SB」写真
図2 富士通「FAROT-4SB」カタログ
図2 富士通「FAROT-4SB」カタログ
図3 富士通自動半田付装置応用
図3 富士通自動半田付装置応用
図4 富士通ディスクオートハンドラ応用
図4 富士通ディスクオートハンドラ応用
図5 東芝スカラロボット
図5 東芝スカラロボット