日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2001Business〈企業の研究開発〉研究用小型ヒューマノイドロボットプラットフォーム : HOAP
内山 隆 | (株)富士通研究所 |
森田 俊彦 | (株)富士通研究所 |
RIADH Zaier | (株)富士通研究所 |
神田 真司 | (株)富士通研究所 |
村瀬 有一 | (株)富士通研究所 |
永嶋 史朗 | (株)富士通研究所 |
安川 裕介 | (株)富士通研究所 |
岡林 桂樹 | (株)富士通研究所 |
植木 美和 | (株)富士通研究所 |
境 克司 | (株)富士通研究所 |
青山 光明 | ミヤチシステムズ(株) |
舘野 茂夫 | ミヤチシステムズ(株) |
木村 公一 | ミヤチシステムズ(株) |
石川 日吉 | ミヤチシステムズ(株) |
荻野 慶太 | ミヤチシステムズ(株) |
吉野 実 | ミヤチシステムズ(株) |
小林 雅司 | ミヤチシステムズ(株) |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
ヒューマノイドロボットHOAP(Humanoid for Open Architecture Platform)シリーズは,研究開発用として2001年から販売されたロボットです.二足歩行等の運動制御アルゴリズム開発のほか、基本シミュレーションソフトを併用したロボット作業アルゴリズムの開発、人間とロボットとのコミュニケーションの研究など、多方面に使用されました.これまで,HOAP-1からHOAP-3まで計3シリーズが販売され,研究用プラットフォームとして多くの研究者に使用されました.
HOAPは身長48cmで体重6Kgと小型・軽量のため扱い易く安全です.また,ハードウェアとソフトウェアの内部インタフェース情報を公開しているので、ユーザが自由にプログラム可能なオープン・アーキテクチャとしています.駆動系として高出力モータを新規開発し,制御回路と一体化して体内LANで接続しています.高速な駆動のために最大40個のモジュールを1ms周期で協調制御可能なLANドライバを開発し滑らかな歩行を実現しました.
また,ユーザが作成した制御プログラムの事前確認などが可能な基本シミュレーションソフトを添付し、効率的かつ安全にプログラム開発を行えるようにしました.基本シミュレーションソフトやユーザが開発したプログラムは、動作指令パソコンのRT-Linux上で動作し、ロボット本体とUSBインタフェースで通信します。ロボット内のセンサやアクチュエータもUSBインタフェースを用いているため、センサやアクチュエータを容易に拡張できます。
運動生成に関しては,CPG(Central Pattern Generator)を基本単位とし,逐次学習可能なリカレントニューラルネットワーク(RNN)を用いたもの,およびRNNをより容易に実現する言語(RNN言語)を開発し、ヒューマノイドロボット動作生成システムNueROMAとして提供しました.運動制御を専門としない研究者向けには,直進,旋回等の安定歩行パターンをユーザ側でダイナミックに連結可能な動作ライブラリを提供し,容易にヒューマノイドロボットを操作できる環境を実現しました.
後期のシリーズでは,動作自由度を追加した他に,カメラやマイク等のコミュニケーションデバイスを強化しました.このシリーズは人間とのコミュニケーション分野や,視覚と動作を連携させたロボット制御などヒューマノイドロボットの応用研究分野にも使用されました.
HOAPシリーズは2001年より本格的二足歩行ヒューマノイドロボットとして販売され,国内外の大学、研究機関、企業などで通算100台以上が出荷されました.
2004年 第9回日本ロボット学会実用化技術賞
2007年 第2回ロボット大賞 優秀賞