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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2013Business〈企業の研究開発〉航空機用ジェットエンジンのベベルギヤ精密仕上げシステム


上野 光株式会社IHI
柴崎 暢宏株式会社IHI
林 浩一郎株式会社IHI
三上 知三株式会社IHI
金子 大株式会社IHI

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

精密仕上げ工程は、高度な技能を要する難しい作業のため,複雑形状の部品では特に自動化が困難であり,作業者の熟練技能に依存している。近年,技能伝承の問題に加え,品質安定化やトレーサビリティの観点からも自動化が求められている。

我々は可動範囲の広いロボットアームと,工具の接触力を制御する力制御技術を利用し,熟練技能者並みの加工品質を実現できる「精密仕上げシステム」を開発し,これを自社で生産しているジェットエンジンに使用されるベベルギヤの仕上げ工程へ適用した。本システムの特長は,①力制御により,自動化が難しい,柔軟な(摩耗・変形する) 工具(ブラシ,ゴム砥石,等)に対応でき,面取り,バリ取り,磨き,など,多様な仕上げ加工ができること,②ワークのCADモデルから軌道を生成することで,教示作業を省力化できること,③ロボットによる接触計測により,ワーク位置や形状を計測して動作を補正することで,高精度かつロバストに加工できること,等である。 2010年度から要素技術開発をはじめ,2012年度に工場適用のためのシステム化を実施し,2013年3月に納入,同6月から量産稼働を開始している。

2015年 第20回日本ロボット学会実用化技術賞受賞
FA財団 論文賞

精密仕上げシステム<br />
精密仕上げシステム
仕上げ加工<br />
仕上げ加工

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対応論文


林浩一郎,西嶋和之,曽根原光治,村上弘記:ロボットアームによる精密仕上げ加工技術の研究

第29回日本ロボット学会学術講演会,3G1-1,2011

曽根原光治,林浩一郎,西嶋和之,村上弘記:ロボットアームによる精密仕上げ自動化技術の開発

IHI 技報,52巻,2号,58-65ページ,2012

林浩一郎,三上知三,柴崎暢宏,曽根原光治,上野光,村上弘記:精密仕上げロボットシステムの開発

第14回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会,1G2-6,2013

林浩一郎,上野光,村上弘記:力制御ロボットを使った精密仕上げ加工の実現

第19 回ロボティクスシンポジア,4C4,2014

関連論文


[1] 神野,吉見,阿部:“遠隔グラインダ作業ロボットの研究”,日本ロボット学会誌,10巻,2号,244-253ページ,1992
[2] 吉見,神野,阿部:“事例紹介:グラインダ作業ロボット”,日本ロボット学会誌,9巻,6号,790-796ページ,1991
[3] 井上昭史:” 解説:仕上げロボット”,日本ロボット学会誌,13巻,6号,752-755ページ,1995
[4] 金丸,嶋田,飯塚,山口,菱田,山田,真鍋,岩本:“仕上げ作業自動化システムの開発”,川崎重工技報,147巻,14-17ページ,2001
[5] 神野,栗田: “機械加工バリ取り作業を対象とした力制御の追従性向上”,日本ロボット学会誌,17巻1号,147-155ページ,1999
[6] 吉川恒夫:“ロボット制御基礎論”,コロナ社,1988
[7] 戸田,浅川,竹内:“産業用ロボットによる面取り作業の自動化”,機械学会論文誌C編,65巻,631号,1288-1294ページ,1999
[8] 永田,渡辺,楠本,安田,津田,塚本,尾本,芳賀,長谷:“位置フィードバックループと力フィードバックループの弱干渉を用いたハイブリッド制御法”,日本機械学会論文誌C編,71巻,701号,178-184ページ,2005