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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2005Business〈企業の研究開発〉双腕作業機ASTACO


石井 啓範日立建機(株)
冨田 邦嗣日立建機(株)
石橋 英人日立建機(株)
藤島 ー男日立建機(株)
太田 泰典日立建機(株)
小俣 貴之日立建機(株)
江川 栄治日立建機(株)

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

油圧ショベルは元々掘削機として発展してきた。近年ではその汎用性が高く評価され、解体作業といった複雑な作業にも使用されている。この複雑な作業への対応能力をさらに向上させる手段として、人間と同様に2つの腕を持たせることに着目し、2本のフロントを有する双腕作業機「ASTACO」を開発した。
[ASTACOの主な特徴]
  • 双腕により、「掴みながら切断する」」「長い物を折り曲げる」といった複雑作業が可能
  • ポンプ1台で多数のアクチュエータを駆動可能な油圧システムを採用し,双腕の同時駆動を実現
  • 右手で右フロント、左手で左フロントを操作する操作方式により、双腕同時操作が可能
  • 操作装置に速度式ワンレバーシステムを採用し、直感的操作と疲労低減を実現
  • 3次元的にフロント姿勢を演算することで、左右フロント同士の接触を回避
2008年10月、7t級の実験機が災害現場におけるレスキュー用として消防機関に試験導入された。評価の結果、2011年3月、専用装備を備えた後継の特注機2台が正式採用された。
また並行して、13t級の双腕作業機「ASTACO NEO」の開発を実施しており、2013年6月、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県の被災現場に搬入し、がれき撤去作業などの支援活動を行った。津波で押し流されたコンテナの解体や、折り重なったがれきを処理するため、つかむ・切る・移送するといった一連の作業を、双腕を駆使して実施した。なお、「ASTACO NEO」は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、日立建機が開発した機械である。
双腕作業機ASTACO
双腕作業機ASTACO

関連論文


[1] 石井:“2つのフロントを有する双腕作業機の開発”, 建設の施工企画,No.670, pp 31-35, 2005.(in Japanese)

[2] A.Ishii: “Operating System of a Double-Front Work Machine for Simultaneous Operation”, ISARC2006, pp 539-542, 2006

[3] 石橋,冨田,小俣,藤島:“解体・スクラップ処理に適した双腕型作業機械の提案”, 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演概要集2008, pp 2P1-B09(1)-(2), 2008. (in Japanese)

[4] 冨田,石橋,小俣,江川,藤島:“作業分析に基づく双腕作業機の改良点抽出”, 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演概要集2010, pp 1A1-A29(1)-(2), 2010.(in Japanese)