日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2003Business〈企業の研究開発〉人間型ロボットハンドGifu Hand III
川﨑 晴久 | 岐阜大学 |
毛利 哲也 | 岐阜大学 |
伊藤 聡 | 岐阜大学 |
下村 尚之 | ㈱ダイニチ |
松波 俊宣 | 岐阜ギヤー工業(株) |
花田 伸 | 日晃オートメ(株) |
東 輝明 | ニッタ(株) |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
本人間型ロボットハンドは,人間の手とほぼ同じ関節数と自由度を有するサーボモータ内蔵方式の世界初の人間型ロボットハンドである.人間と同様に5本指20関節16自由度を有し,各指のリンク長さの比は人間のそれと近い.非対称型差動減速機構により指の第1関節(内外転)と第2関節(屈伸)の2軸が1点で直交している.拇指以外の指では,4節平行リンク機構により第4関節(指先の関節)は,第3関節に連動して駆動できる.器用な操作に不可欠な拇指と他の指とを対向させる高い拇指対向性を有する.これらの伝達機構と拇指対向性のある指の配置により人間の指と同等な動きを実現している.また,指の周波数応答特性は6Hz以上と人間のタッピング能力(約5.5Hz)より優れている.各関節は,ハンド機構内に内蔵されたモータにより駆動されるので,MIT等で開発されたワイヤ駆動によるロボットハンド(ハンド機構外に駆動用モータを配置)に比べると大幅に小型化されている.重量は1.4kgであり,市販の産業ロボットアームの先端に装着し作業させることができる.モータにはエンコーダが内蔵されているので,その関節角度情報により指運動を制御できる.掌や指腹部には本ハンド用に開発された計測点859の分布型触覚センサを装着できる.また,指先には市販の6軸力覚センサも装着でき,力フィードバック制御をすることも可能である.以上のように,本製品はロボットハンドによる物体の把持・操作のための研究開発用ツールとして非常に有用である.
第8回(2010年度)日本ロボット学会実用化技術賞受賞
平成18年度文部科学大臣表彰(科学技術賞)