日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2009Business〈企業の研究開発〉異形断面形状が成形可能な力制御スピニング加工機
荒井 裕彦 | (独)産業技術総合研究所 |
藤村 昭造 | (株)大東スピニング |
岡崎 功 | (株)大東スピニング |
安斎 茂宏 | (株)大東スピニング |
長田 惠一 | (株)テクニー |
森田 一久 | (株)テクニー |
小山 博美 | 安川エンジニアリング(株) |
光永 博文 | 安川エンジニアリング(株) |
蔭山 三郎 | 野里電気工業(株) |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
スピニング加工とは,板やパイプなどの金属素材を主軸モータで回転させながら,加工ローラを押し付けて成形する塑性加工の一手法である.従来の加工機では断面が円形の形状しか成形できなかったが,本機ではロボット技術の導入により楕円形や多角形,偏心などの異形断面形状の成形を新たに実現した.異形断面の成形には力制御スピニング/同期スピニングという二つの方法を用いる.力制御スピニングでは,ローラの押し付け力を適切な値に制御し,作りたい形状と同じ異形断面形状の成形型に素材を押し付ける.一方,主軸と平行な方向には,加工ローラを一定の速度で送り制御する.ローラは成形型の形状に倣って動き,素材を型に密着させる.異形断面形状を成形している間,成形型の形状に合わせてローラを半径方向に非常に速く往復させる必要がある.そこで本機ではローラをリニアモータによって駆動し,推力制御によりローラを成形型の形状にすばやく追従させている.また同期スピニングでは,ワークの回転角に同期して加工ローラを半径方向に前進/後退させ,ローラとワークの接触点の軌跡が作りたい断面形状を描くようにローラを動かす.一方,主軸方向に沿って断面形状を変化させ,ワーク全体を所定の形状に成形する.この方法では成形型を用いずに異形断面形状を成形することも可能である.本機による加工ではプレス加工よりも成形型コストが非常に低くなるので,多品種少量生産や製品開発における試作に特に有利である.
2010年 日本機械学会ロボメカ部門技術業績賞およびROBOMEC表彰2009年 第14回日本ロボット学会実用化技術賞受賞
2003年 第8回ロボティクスシンポジア優秀論文賞
2004年 日本機械学会ロボメカ部門ROBOMEC表彰
2006年 ファナックFAロボット財団論文賞