日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2005Business〈企業の研究開発〉GPS自律移動監視システム
瀧口 純一 | 三菱電機 (株) |
梶原 尚幸 | 三菱電機 (株) |
島 嘉宏 | 三菱電機 (株) |
廣川 類 | 三菱電機 (株) |
黒崎 隆二郎 | 三菱電機 (株) |
目黒 淳一 | 早稲田大学 |
石川 貴一朗 | 早稲田大学 |
天野 嘉春 | 早稲田大学 |
橋詰 匠 | 早稲田大学 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
本実用化技術では,高層の建物を含む工場や倉庫等での構内移動監視システムの構築を目的として,様々な状況下で相補的に作用する移動体の航法/誘導制御系と,位置情報と全周画像を利用した移動監視手法を特徴とする,GPS自律移動監視システムの開発を行った.本システムでは,衛星可視性が悪い時でも測位可能なT/C(Tightly Coupling) GPS//DR(Dead Reckoning)複合航法システムによる位置推定技術を用いることで,補足された衛星数が少ない場合においても,自己位置をシームレスに推定することができる.加えて,予め作成した地図情報とオフラインで算出された経路に沿った誘導を行う“Normal ”モードと,リアルタイムで2D Lidarにより作成する環境地図に基づいて道路追従・障害物回避を行う“Road tracking” モード,そして交差点の認識結果をベースにして誘導を行う“Crossing recognition” モードの三つの誘導モードにより,環境変化(建物による衛星遮蔽,衛星配置,経路上の駐車車両等)に対してロバストな移動体誘導制御を行うことが可能である.以上の位置推定,誘導制御の技術により,工場構内における自律移動をロバストに可能にした.さらに,移動監視機能の特徴としては, ODV(Ommni Directional Vision)による全周画像とパン・チルト機能付きカメラによる任意箇所の拡大画像を,時間・位置タグ付きのデータベースとして保存することで,リアルタイムでの監視はもとより,特定位置をキーとして画像検索し,時系列的に解析することで,あたかも固定カメラをフィールド全体にくまなく配置したように不審物・人・車両等の挙動を監視することが可能にした.
2005年 第10回日本ロボット学会実用化技術賞受賞