日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1990Business〈企業の研究開発〉極限作業ロボット用マニピュレータ
大西 献 | 三菱重工業株式会社 |
大道 武生 | 三菱重工業株式会社(現:名城大学) |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
極限作業ロボットプロジェクトは,1983 年度(昭和 58 年度)から 1992 年度(平成 3 年度)までの 9 年をかけて行われた国家プロジェクトである.
プロジェクトの対象は
①原子力発電施設作業ロボット(原子力ロボット)
②石油生産支援ロボット(海洋ロボット)
③生産施設防災ロボット(防災ロボット)
の3分野であり,このうち原子力ロボットが実施すべき作業として,運転中の格納容器内など放射線レベルが高い領域等の点検,監視,補修作業(弁,配管,タンク,熱交換器,フィルタ交換),床面除染などが取り上げられた.工具を自在に操り,柔軟物の扱いに代表される繊細性を有し,人並みの力作業が実行できる高度なマニピュレ―ション機能が必要であった.そこで,人と同等形状の双腕型多本指マニピュレータで,多感覚(腕力覚,指力覚,指触覚)バイラテラル制御と自律制御に支援された高度な遠隔制御機能を有するマスタスレーブ操作のマニピュレ―ションシステムを開発し,「汎用工具を用いた弁の分解・補修作業」を実証デモした.
・第4回(1993年度)技術賞受賞