日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2007Business〈企業の研究開発〉人と協働する自動車組立ラインのウィンドウ搭載支援ロボット
村山 英之 | トヨタ自動車株式会社 |
藤原 弘俊 | トヨタ自動車株式会社 |
武居 直行 | 名古屋工業大学(現:首都大学東京) |
鈴木 太志 | 株式会社アラキ製作所 |
柴田 篤志 | 株式会社アラキ製作所 |
松本 邦保 | トヨタ自動車株式会社 |
鴻巣 仁司 | トヨタ自動車株式会社 |
藤本 英雄 | 名古屋工業大学 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
「最終的な品質は人が確認し,つらい作業はロボットが行う,人と共存する『協働』化」を目指して,自動車の最終組立工程において,作業者2人で行っていたウィンドウ搭載作業を,作業者1人とロボットの協働で行う「ウィンドウ搭載アシスト」を開発し,トヨタ自動車の量産ラインで実用化した.
本機は,トヨタ自動車 高岡工場のカローラ,iQの組立ラインで2007年よりフロントウィンドウ用とリアウィンドウ用の2台が稼動している.従来のウィンドウ搭載の自動化は,車体を停止させ,人と隔離した大がかりな設備で行っていた.これに対して,本機はコンベア上で動いている車体と同期して動きながらウィンドウを搭載しているのが,大きく異なる点である.これにより,従来通りの工程長におさめることができ,大幅な省スペース化と導入コストの削減を図ることができた.
ウィンドウ搭載は自動車の最終組立工程でも高い技能が要求され,ベテランの屈強な男性でなければできなかった.現在では,入社3ヶ月の新人の女性作業者が1人で搭載作業を行っている.
従来の「パワー・力」の補助に加えて,「技能」の支援ができるのが本機の大きな特徴で,これが導入先にとって大きなメリットとなり,実用化に至っている.
2011年 第25回日本ロボット学会学会誌論文賞
2010年 平成22年度ファナックFAロボット財団論文賞