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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1984Business〈企業の研究開発〉可変クローラ型知能移動ロボット


岩本 太郎(株)日立製作所
亀島 鉱二(株)日立製作所
中野 善之(株)日立製作所
本間 和男(株)日立製作所
榊原 義宏(株)日立製作所
藤江 正克(株)日立製作所
小川 優理子(株)日立製作所
貝瀬 浩(株)日立製作所
菅 和俊(株)日立製作所
山本 広志(株)日立製作所

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

製造業用だけでなく新しい市場への展開を考慮し,建屋内を自律的に人間並みの速度で移動して,搭載アームで作業を行う知能移動ロボットを開発した。
  1. 階段や段差をクローラの形状変化を利用して踏破する形状可変型機構を開発した。図1に示すように,クローラ機構を構成する3個の車輪のうち1個の位置を変えることにより,階段に乗り上げる時は迎え角を形成して,高い段差に乗り上げ易くし,階段の途中ではクローラの長さを後方に長くして急傾斜でも安定に走行することができる。
  2. 視野角の広い魚眼レンズを装着したテレビ画像から,高速で誘導信号を発生できる知覚誘導システムを開発した。これは移動環境に関する3次元地図データを持ち,ロボットの移動に伴いその地点で見える通路の2次元投影画像を生成し,テレビ画像から得られる実画像とのずれを図2に示す専用画像処理回路で高速処理して誘導信号に変換するものである。
  3. 地図を柔軟に管理しながら高度な環境適応を行う知能ソフトウェア,移動を制御する知覚制御システム,近接センサの情報をもとに反射動作する運動制御システム,の3段階の制御が協調して,建屋内通路を時速2Kmの実用速度で自律移動し,傾斜40度ステップ高さ250mmの階段を自律的に昇降できる。また,移動体とはスペクトラム拡散方式で通信を行いバッテリー搭載によってケーブルレスで移動できる。
図1 階段走行
図1 階段走行
図2 知覚誘導システム
図2 知覚誘導システム
階段走行
階段走行
知覚誘導
知覚誘導
作業アーム
作業アーム
       

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対応論文


岩本,山本,本間,藤江,中野:地形変形に応じながら走行する形状可変形クローラ走行車の機構と制御, (PDF, 844KB)

日本ロボット学会誌, Vol.2, No.3, pp. 200-208, 1984

亀島,小川,中野:再帰型画像処理機構を用いた移動ロボットの視覚誘導, (PDF, 871KB)

日本ロボット学会誌, Vol.5, No.5, pp. 343-350, 1987

関連論文


[1] T.Iwamoto, H.Yamamoto and K.Honma: "Transformable Crawler Mechanism with Adaptability to Terrain Variations," '83 International Conference on Advanced Robotics, pp.285-291, 1983

[2] M.Fujie, T.Iwamoto, K.Kamejima, Y.Hosoda: Y.Nakano, "Mobile Robot with Transformable Crawler,and Intelligent Guidance," Robotics & ComputerIntegrated Manufacturing Vol. 1,No.3/4,Pergamon Pres, pp. 375-382, 1984

[3] Y.Nakano, T.Iwamoto, M.Fujie and K.Kamejima: "A Concept an Autonomous Mobile Robot and a Prototype Model," Proceedings of '85 International Conference on Advanced Robotics, pp.413-420, 1985

[4] M.Fujie, T.Iwamoto, Y.Hosoda, K.Kamejima and Y.Nakano: "Mobile Robot System with Transformable Crawler,Intelligent Guidance and Flexible Manipulator," Robotics Research 3, pp.341-347, 1986

[5] 岩本,山本,天城:"地形適応機能を備えた実建屋内移動機構の開発", 日本ロボット学会誌 Vol.6, No.1, pp.67-74, 1988

[6] 岩本,山本,榊原:"複合センシングによる屋内通路の環境把握と形状可変クローラの自律移動制御", 日本ロボット学会誌, Vol.6, No.5, pp.41-50, 1988

[7] T.Iwamoto and H.Yamamoto: "Mechanical Design of Variable Configuration Tracked Vehicle," ASME Journal of Mechanisms,Transmission,and Automation in Design

[8] 岩本,山本,本間:"形状可変形クローラ走行車の機構と運動制御", 第一回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.1-4, 1983

[9] 岩本,山本,本間:"形状可変形クローラ走行車の開発", 第二回知能移動ロポットシンポジウム, pp.33-38, 1984

[10] 岩本,榊原,藤江:"形状可変クローラ走行車(MK-2)の開発", 第二回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.229-230, 1984

[11] 山本,岩本,本間:"近接覚を利用した形状可変クローラ走行車の進路補正制御", 第二回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.231-232, 1984

[12] T.Iwamoto, M.Fujie, Y.Hosoda, K.Kamejima and Y.Nakano: "Mobile Robot System with Transformable Crawler, Intelligent Guidance,and Flexible Manipulator," Preprint of the 3rd International Symposium of Robotics Research, pp.239-245, 1985

[13] 岩本,山本,榊原,藤江:"複合センシングと走行制御", 第三回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.251-252, 1985

[14] 山本,岩本,藤江:"超音波センサによる移動体制御", 第三回日本ロポット学会学術講演会予稿集, pp.253-254, 1984

[15] 榊原,岩本,山本,藤江:"建屋内3次元走行ロボットの複合センサ制御", 第3回知能移動ロポットシンポジウム講演論文集, pp.79-84, 1986

[16] T.Iwamoto and H.Yamamoto: " Mechanical Design of Variable Configuration Tracked Vehicle," Trends and Developments in Mechanism,Machines,and Robotics, 1988, DE-Vol.15-3, pp.113-118, 1988

[17] K.Kamejima, et al.: "A Pattern Kinematics Concept and Its Application to Mobile Robot Navigation," 6th SICE Symp. on DST, pp.87-90, 1983

[18] 小川,外:"移動ロボット視覚誘導の一方法", 電子通信学会総会全国大会予稿集, 6-131, 1989

[19] 貝瀬,三宅,杉山,亀谷:"軽量多関節アームの力制御方式", 第3回日本ロボット学会学術講演会予稿集, pp.339-340, 1985