SEARCH
MENU

日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2008Business〈企業の研究開発〉複数台のM-430iAのビジュアルトラッキングによる高速ハンドリング


稲葉善治ファナック株式会社
二瓶亮ファナック株式会社 (現:株式会社LIXILグループ)
田村敏功ファナック株式会社
榑林秀倫ファナック株式会社
田中康好ファナック株式会社

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

これまで,産業用ロボットは自動車・自動車部品製造現場,電機・電子部品製造現場を中心に活用されてきた.これ以外にも,一般産業とりわけ,食品・医薬品・化粧品などの製造現場においても,ロボット化が促進されている.こうした製造現場では,1分間に200個・300個といった大量の製品の搬送処理能力が求められる.従来のロボットでは動作性能に限界があったため,何台ものロボットをライン上に並べることで市場要求に応えてきた.しかし,この方法ではロボット設置のための広いスペースの確保と多大なロボット導入費用が必要であったため,思うように普及が進まなかった.
そこで,ファナックでは,食品・医薬品製造ラインの処理能力に適った,高速にしかも連続して動作可能な食品・医薬品ハンドリングロボットM-430iAを開発した.M-430iAは食品・医薬品ハンドリングに要求される,高速・高デューティ性能に加え,清潔性,洗浄性,耐薬品性を盛り込んだ可搬質量4kgの垂直多関節ロボットである.コンベア上をバラバラに流れてくるワークを視覚センサにより取り出しを行なう,ビジュアルトラッキング機能を活用し,これまで人手や専用機に頼っていたハンドリング作業に代わって,安価で柔軟性のあるロボットシステムにより品質の高い作業を24時間連続運転することで,食品・医薬品などの製造業の競争力を増強できる.

2008年 第13回日本ロボット学会実用化技術賞受賞
「今年のロボット」大賞2007 経済産業大臣賞受賞

ピロー包装された羊羹の箱詰めシステム
ピロー包装された羊羹の箱詰めシステム