日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2010Business〈企業の研究開発〉ヘッドケアロボット
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
ヘッドケアや洗髪は、清潔さだけではなく、爽快感・リラックスを得るために、理美容店・介護施設・スパ施設などで頻繁に行われている。しかし、施術者にとっては、洗髪を含むヘッドケアは、手荒れ・腰痛の原因になり、離職などの大きな問題となっている。また、介護施設では大きな業務負担であるため、ヘッドケアの頻度が低くなっている。
弊社では、この問題を解決するために、これまで蓄積してきたロボットハンド技術を応用し、人の指を模した接触子で頭皮・頭髪をこすり洗い(接触摺動洗浄)する世界初のヘッドケアロボットを開発した。ヘッドケアロボットにより、ストレス社会で身体的・精神的な快適性を提供することを目指す。
ッドケアロボットは「人に優しく触れ、泡でキレイに」をコンセプトに開発された(810×1045×723mm)。ロボットは、下洗い、洗浄、コンディショニング、乾燥といった一連のプロセスを全て行う。特に、洗浄において、ムース状に泡立てたシャンプを利用し、指を模した接触子で接触摺動洗浄することで、手で揉みほぐされるような感覚を与える。
ッドケアロボットは左右2 本のスイングアームユニットと後頭部洗浄ユニットからなる。また、スイングアームユニットは、押圧アームとその先端のエンドエフェクタから構成される。エンドエフェクタ、後頭部洗浄ユニットには、人の指を模した弾性接触子が8個ずつ配置され、頭部は計24本の指で揉み洗いされる。エンドエフェクタには、単一の電動モータで8本の指を駆動する円筒ラック機構と受動関節により頭の形状になじむ自動調芯機構が組み込まれている。
部への接近離脱を行う押圧アームは、5節閉リンク機構により押圧と伸縮を行うことで頭部領域を隈なく洗浄することができる。また、押圧駆動には、コンプライアンス制御が実装され、頭部に優しく接触することができる。