日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2010Business〈企業の研究開発〉細胞自動培養システム
中嶋 勝己 | 川崎重工業 |
櫻井 隆 | 川崎重工業 |
蓮沼 仁志 | 川崎重工業 |
上田 澄廣 | 川崎重工業(現:兵庫県立大学) |
羽畑 修 | カワサキプラントシステムズ(現:川崎エンジニアリング |
金澤 秀和 | カワサキプラントシステムズ(現:川崎重工業) |
脇谷 滋之 | 大阪市立大学(現:広島大学) |
田原 秀晃 | 東京大学 |
下平 滋隆 | 信州大学 |
植村 壽公 | 産業技術総合研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
再生医療は21世紀の夢の医療と言われ,患者さんの細胞を培養し,組織を再生し,疾病を治療することが目標である.既に重度熱傷に対応し,再生皮膚を使った治療が行われており,心筋・軟骨・骨・角膜等では,臨床研究の実績が積み重ねられている.細胞の培養は,医療用のクリーンルームであるCPC(Cell Processing Center)で熟練者により実施されているが,汚染や間違いが許されない作業である.再生医療の実用化のためには,培養作業の自動化が必須であると考え,自動培養システムの開発に取り組んだ.汚染や間違いの防止は,人には難しくても,ロボットには得意分野であり,システムの中心にロボットを採用した.細胞培養は再生医療だけではなく,創薬(新薬開発)でも必要とされる.再生医療の実用化には年月が必要だが,創薬は,今必要とされる分野であり,一部仕様を見直し,創薬向けで使用できるシステムの開発も実施した.これら2つの用途を合わせ,細胞自動培養システムとして紹介する.
創薬用の細胞培養では,再生医療と比較すると,多様な細胞の培養が求められるとともに,コストも重視される.そこで,ロボットが行っていた作業の一部を専用機に置き換え,作業効率を上げることで,コストパーフォーマンスの向上を目指した.
再生医療に対応するには実用レベルの汚染防止機能が必要である.そこで,万一,汚染が起こった場合に自動で汚染を清掃する自動除染機能を装備することを目指し,自動培養システム内を自動除染するために,医療機器で採用されて実績のある過酸化水素を使用したガス滅菌を装備することとした.
第15回(2010年度)日本ロボット学会実用化技術賞受賞
2010年ひょうごものづくり技術大賞知事賞
2010年第4回ロボット大賞優秀賞(サービスロボット部門)