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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2007Business〈企業の研究開発〉子ぐま型ソーシャルロボット


渡辺 一郎(株)富士通研究所
今井 岳(株)富士通研究所
金岡 利知(株)富士通研究所
日高 洋士(株)富士通研究所
山岡 久俊(株)富士通研究所
雨宮 智(株)富士通研究所
立田 隼人(株)富士通研究所
安川 裕介(株)富士通研究所

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

【概要】

日常生活のさまざまな場面で人とICTを優しくつなぐ「人に優しい端末」を目指し、子ぐま型ソーシャルロボットを開発しました。単に情報伝達するだけの無味乾燥な端末でなく、ユーザの感情に訴えかけ、愛着・絆を形成できる新しい端末の実現を目指しています。 端末自体が意思を持っているかのような自律的・生物的な動作とユーザとのアイコンタクトや同調動作などの社会的ふるまいを特徴にしています。

【特徴】

(1)豊かな感性表現・自然な生き物感
- 2次元(覚醒-睡眠、上機嫌-不機嫌)の感情空間と300通りの動作パターン
- 12個の内蔵モータの協調動作による非言語表現
→ 顔の表情や全身のジェスチャによる豊かな感性表現を実現
→ 見る者に「自然な生き物に接している」と錯覚させるほどの生き物感を実現

(2)親和的なインタラクション機能
- 鼻に搭載した小型カメラ
→ 相手の顔を見るアイコンタクト機能、相手の動作を模倣する機能
- 全身13ヶ所のタッチセンサ
→ スキンシップにも応答

(3)対面インタラクションによるユーザ状態の把握とサービス提供
- 相手とのインタラクションを通じてユーザ状態を把握
- ネットワーク連携により、ユーザ状態に応じたサービスを提供

【デイサービスでの活用トライアル】

雰囲気活性化・生活活性化は介護施設の共通課題です。デイサービスセンターでの余暇時間における自由ふれあいや、日常的に行われているレクリエーションの支援への応用など、介護施設の雰囲気活性化支援に応用しました。多くの施設利用者(高齢者)がまるで幼児が来たかのような反応を見せ、利用者全体が普段よりにこやかになる、普段あまり表情のない人も自然な笑顔になる、普段あまり体操しない人が積極的に体操に参加する(体操レクリエーションの支援)などの効果が見られました。

子ぐま型ソーシャルロボット
子ぐま型ソーシャルロボット

動画


photo

対応論文


渡辺一郎ほか:生き物感を有する対話ロボットによる高齢者セラピー

日本ロボット学会講演会(RSJ2007)予稿集,2B26 (2007)

雨宮智ほか:高齢者介護施設における子ぐま型ソーシャルロボットの影響度評価

日本ロボット学会講演会(RSJ2011)予稿集,1F3-1 (2011)

関連論文


【雑誌】

[1] 人にやさしい端末「子ぐま型ソーシャルロボット」ユーザーとの親和的な関係を築くインタラクション技術,富士通ジャーナル2010年4月号(2010)
http://jp.fujitsu.com/journal/strength/technologies/201004.html

[2] 渡辺一郎,人に優しい端末を目指す子ぐま型ソーシャルロボットと高齢者介護への応用, 日本ロボット工業会, 204, .pp.37-41, (2012).

[3] 渡辺一郎,人に優しい端末を目指す子ぐま型ソーシャルロボットとロボット・セラピー,計測と制御,vol.51, no.7, pp.614-619, (2012).

【口頭発表】
[4] 山岡久俊ほか:認知症高齢者を対象とした親和的ロボットによるロボット・セラピー,第24回人工知能学会全国大会(JSAI2010)予稿集,1H2-NFC3b-8 (2010)
http://kaigi.org/jsai/webprogram/2010/pdf/241.pdf

[5] 今井岳ほか:親和的インタラクションに基づくサービスを提供する子ぐま型ソーシャルロボットの開発,第12 回計測自動制御学会システム・インテグレーション部門講演会(SI2011)予稿集,1C2-2(2011)

[6] 今井岳ほか:親和的インタラクションにより引き出す表情の観察によるユーザ状態把握, 第26回人工知能学会全国大会(JSAI2012)予稿集, 3K1-R-11-4(2012)
http://kaigi.org/jsai/webprogram/2012/pdf/194.pdf

[7] 金岡利知ほか:親和的インタラクションに基づく人に優しい情報提供,第26回人工知能学会全国大会(JSAI2012)予稿集,3O1-OS-3a (2012)
http://kaigi.org/jsai/webprogram/2012/pdf/577.pdf