日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2012Business〈企業の研究開発〉搭乗型移動支援ロボット『ROPITS』
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
将来の超高齢化社会への対応に向け、歩道を自律走行してお年寄りや歩行が困難な方の近距離移動を支援することを目的とした、一人乗り移動支援ロボット『ROPITS(RObot for Personal Intelligent Transportation System)』を開発した[1][2]。
(1) 屋内外での高精度自己位置推定
ロボットに搭載されたGPSセンサ、レーザ距離センサ、ジャイロセンサ、エンコーダなどのセンサ情報から高精度な3次元環境形状地図を生成。レーザ距離センサで取得した周囲形状を環境形状地図と照合して現在自己位置を推定し、GPSセンサの情報と融合することにより、街路樹の下や建物のすぐ近く、屋内など、衛星電波の入りにくい場所でも高精度に自己位置推定が可能[3]。
(2) 複数センサを融合した3次元環境認識による障害物回避
レーザ距離センサとステレオカメラにより測定した3次元環境形状情報により歩行者や路面凹凸を検出。広い場所では速度を保ちながら障害物から離れたところを走行し、狭い場所では障害物の近くを減速走行して、様々な障害物が存在する歩道をスムーズに移動。
(3) アクティブサスペンションによる安定走行
車体傾きを検知し、各車輪を上下させて車体を水平に保つためのアクティブサスペンションを搭載。坂道や凹凸路面での安定走行を実現。
(4) 情報端末の地図で指定した任意地点への自律走行
携帯情報端末に表示された予約・操作画面の地図上で任意地点を指定すると、その緯度経度に自律走行。搭乗者が携帯情報端末を用いて街のどこからでも簡単に呼び出して利用することができる任意地点自律送迎が可能[4]。
本ロボットは、2011年6月から開始した茨城県つくば市のモビリティロボット実験特区での一般歩道走行実験において、18km以上の歩道環境形状地図を生成し、地図で指定した任意地点の緯度、経度に対して誤差1m以内に到着することを確認している。