日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1972Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉人工知能ロボットの研究
江尻 正員 | 日立製作所中央研究所 |
烏野 武 | 日立製作所中央研究所 |
依田 晴夫 | 日立製作所中央研究所 |
後藤 達生 | 日立製作所中央研究所 |
武安 清雄 | 日立製作所中央研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
産業における新しい生産形態の実現を夢見て,視覚を持った計算機制御の人工知能ロボット(写真1,図1)を構築した。
これは,図面を見せるだけで多様な組立を実行するものであり,
- マクロな指令である組立図を認識し,作業の目的を理解する機能(図2)
- 机上の3次元物体(積み木部品群)から,個々の形状・位置・姿勢を認識する機能
- 組立に必要な部品を判断し,図面通りに組立てていくための手の動作手順を,組立図から部品への分解の逆工程として自動生成(後向き推論)し,実行する機能(図3)
に特徴がある。マクロな指令に応じて,外界に適応しつつ多様な作業を実行する初めての統合型知能ロボットとして1970年の日立技術展で一般公開され(写真2),わが国における計算機制御によるロボット研究の先駆けとなった。
その後,この研究は,視覚による検査の自動化装置[1],視・触覚による工業用知能ロボット[2] [3],視覚による全自動半導体組立装置[4]など,世界を先導する技術開発へとつながり,工業用視覚装置(マシンビジョン)の実現と産業用ロボットの実用化・高度化に大きく貢献した。
1976年 研究功績者顕彰 科学技術庁長官賞 受賞技術