日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1988Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉繰り返し学習制御によるロボットの高速・高精度運動の実現
川村 貞夫 | 大阪大学 基礎工学部 機械工学科 |
宮崎 文夫 | 大阪大学 基礎工学部 機械工学科 |
有本 卓 | 大阪大学 基礎工学部 機械工学科 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
ロボットが目標運動を高速・高精度に実現するためには,フィードフォワード入力が重要となる. ロボットダイナミクスのパラメータ推定に基づく計算トルク法では,フィードフォワード入力を求める場合には,パラメータ誤差が問題となる.繰り返し学習制御では,ロボットダイナミクスのパラメータを詳細に調べず,入出力関係のみから試行運動の繰り返しによって,毎回の試行時の入力を前回の出力によって修正する.剛体リンク系のロボットについては,加速度(1)または 速度(2)の誤差によって,入力を修正すればよいことが証明された.これらの結果は,システムの受動性とも関係しており,一般の非線型ダイナミクスの制御法としても興味深い.また,位置と力の両方を学習する方式[4],時間軸変換法との併用[6]なども提案されている.目標運動への収束性,幾何学的拘束条件下での学習制御,忘却因子の利用などの理論的な枠組みは,参考文献[7]に詳しい解説がある.