日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2014Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉ダイレクト教示可能な磁気テープレス自動搬送ロボット
小田島 正 | トヨタ自動車株式会社 |
藪下 英典 | トヨタ自動車株式会社 |
森 健光 | トヨタ自動車株式会社 |
藤井 亮暢 | 株式会社豊田中央研究所 |
田中 稔 | 株式会社豊田中央研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
AGVは工場内の搬送自働化に貢献する主なアイテムの一つであり,今日では省人化の観点から工場に欠かせない設備となっている.しかし,従来のAGVはその経路設定に磁気テープが必須であるため下記のような困り事がある.
・ 磁気テープの劣化により動作が安定しないため,定期的なメンテナンスが必要
・ 磁気テープによる経路設定には変更に数日の工事が必要
・ テープ敷設工事は専門性が高いため外部業者への委託が必要であり費用が掛かる
・ 変更のリードタイムと工事費用から変更頻度の高い工程にはAGVを使えず,結局人で部品を運ぶこととなる
これらの困りごとを解決すべく,磁気テープが不要でかつ専門的な技術がなくとも極短時間で経路を変更できる新しいAGVを開発した.主な特徴を下記に挙げる.
① テープレスでありながら数㎜程度の位置決め精度を実現
観測域と計測精度に得手不得手のあるカメラと測域センサの相補的活用により,目的地までの軌道は測域センサでラフに,目的地付近の軌道はカメラ画像処理で高精度に保証.
② ダイレクトティーチによる圧倒的に容易な教示
目標経路に沿って操縦するだけで移動軌跡を教示経路として周辺地図とともに記憶.目的地付近では認識したARマーカとの相対位置をもとに寄り付き軌道を逐次自動生成.
③ 記憶している地図と実環境に大きな違いがあっても自己位置をロストしないロバスト性
位置推定結果の確からしさを基に確率的位置推定とレーザオドメトリを切り替えながら位置推定することで,実環境と地図の不一致だけでなく推定値ドリフトなどの誤差要因を排除.
2016年 第21回日本ロボット学会実用化技術賞受賞