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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2005Integration, Intelligence, etc.〈インテグレーション・知能ほか〉臨場感と存在感を伝える相互テレイグジスタンス・コミュニケーション・システム (TELEsarPhone)

舘 暲東京大学
川上 直樹東京大学
梶本 裕之東京大学
渡邊 孝一東京大学
南澤 孝太東京大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

TELEsarPHONE(テレサフォン)は,ロボット技術に加え,バーチャルリアリティ技術とネットワーク技術を利用することで人間の生活空間において人間と協調できる人型ロボットであり,音声や映像の情報のみならす,人間の動作や力などの物理情報も臨場感豊かに遠隔地へと伝達し,高度な遠隔コミュ二ケーションや遠隔作業を実現する人間の分身となるロボットである. 具体的には,高速通信ネットワークを介して,ロボット操作用マスタコックピット内部の操作者の動作と力や顔の表情を,遠隔地にあるスレーフロボットに再現させることで, ロボットの操作者が,自分が遠隔地に居るような臨場感を得るだけではなく,ロボットが配置されている場所に実際に存在しているかのような感覚を,ロボットの周囲の人々に生じさせ,遠隔地にいる人との円滑なコミュ二ケーシヨンを可能とする「相互テレイグジスタンス」を実現した初めての口ボットシステムである.

テレサフォンのシステムでは,再帰性投影技術により,操作者の姿を,ロポットの頭部と胴体にリアルタイムに投影することで,再帰性投影ブロジェクタをのぞいた観察者が操 作者の表情をロボットの内部に見て,操作者の存在を感じ取ることを可能としている. ロボットの視覚は,マスタコクピット側の多面裸眼立体ディスプレイで操作者に提示されているため,操作者の顔を隠すことなくビデオカメラで撮影でき,そのビデオカメラの映像をスレーブロボット側の再帰性投影プロジェクタでロボット表面に投影することで,操作者の存在感を提示している。

隔地へ人間の動作や力を伝える方法としては,人間と同じ 7 自由度のスレーブアーム と,5 本の指を持つ 8 自由度の人型スレーブハンドを,6+1 自由度の外骨格型のマスタアームと 8 自由度の外骨格型のマスタハンドを持つマスタコクピットで操作する形式を取っている.マスタハンドは,スレーブハンドが何にも接触せずに自由空間を動いているときは,操作者の指に接触せずに追従し,スレーブハンドが外界と接触したときのみ操作者の指に接触して,スレーブハンドの指にかかる外力をフィードバックするという遭遇型機構となっている.

レサフォンは,未来の電話として,愛・地球博のプロトタイプロボット展にて,2005 年 6 月 9 ~ 19 日の期間に,ロボットを介して日本からパリのぬいぐるみ店に買い物に行という設定で,人間とロボットが共存する未来社会のあるべき姿を提示し,コンセプトの実現可能性と有効性を実証している.