日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1981Locomotion〈ロコモーション〉移動体の高精度計測と自動誘導に関する研究
津村 俊弘 | 大阪工業大学 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
自動車や移動ロボット,農業車両など,各種移動体の誘導方式としては,それまで固定経路方式が主流であった.誘導のフレキシビリティの向上を図るため,無経路誘導法を研究し,今日の移動体誘導の基礎を確立した.
これらの研究はつぎの3つに分類できる.
1.地図で指令される自走車
移動体の位置計測法(ポジショニング)としてオドメトリを世界で始めて開発し,その情報と移動体内部の地図情報とに基づく誘導方式を実現した.目標誘導経路は白紙に黒でコースを描くことで簡便に与えることができる.
2.メモリ指令で誘導される自走車
折れ線表現した目標経路をメモリに記憶させ,移動体のオドメトリ情報と併用した誘導方式を開発した.地図誘導方式では困難であった分岐や交差などを含む複雑な経路に対する誘導を可能にしている.
3.レーザで誘導される自走車
高所から掃引されるレーザ光により走行路面上に目標経路を描き,移動体上の光センサでレーザ光を受光して誘導する方式を実現した.レーザスキャナでのレーザ掃引方向をプログラマブルとすることで,任意形状の目標経路を生成できる.
1982年5月:日本自動制御協会椹木記念賞論文賞受賞