日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1984Locomotion〈ロコモーション〉盲導犬ロボットの研究 -「盲導犬ロボット」の概念の提唱と工学的実現可能性の実証-
舘 暲 | 機械技術研究所 |
小森谷 清 | 機械技術研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
盲導犬ロボットという概念を世界で初めて提唱するとともに,このアイディアの工学的な実現法を理論的に研究し,この方法で実際に実現可能であることを,MELDOGと呼ぶ実験用ロボットを試作し具体的に示した。この研究は昭和52年度から6年計画で工業技術院の特別研究「歩行誘導機械の研究」として行ったものであり,移動ロボットの知的なナビゲーション技術と人間と機械のコミニュケーション技術とを確立し盲人の街路歩行補助を行うための基礎的な研究である。現在までにMELDOGと呼ばれる試作実験装置のMARK IからMARK IVが試作され,それらを用いた実験の結果,盲導犬ロボット実用のための技術的な可能性が実証された。また,この研究の過程で,人間とロボット間の双方向情報伝達手段を研究し,人間の皮膚の電気刺激などにおける情報伝達特性を明らかにした。さらに,この研究に関連して脚機構により移動する歩行ロボットの基礎的な研究も行った。
1983年:IEEE/EMBS(米国電気電子工学会医療工学部門)学会論文賞(Electrocutaneous Communication in Seeing-Eye Robot (MELDOG))受賞
1987年:機械技術研究所所長賞研究業績賞(盲導犬ロボットに関する研究)受賞
1987年:日本ロボット学会論文賞(移動ロボットの自律誘導の一方法)受賞