日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1988Locomotion〈ロコモーション〉四足動歩行ロボットの力学的解析
木村 浩 | 東京大学工学部機械工学科 |
下山 勲 | 東京大学工学部機械工学科 |
三浦 宏文 | 東京大学工学部機械工学科 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
歩行には大きく分けて静歩行と動歩行がある.動歩行は移動速度と移動エネ ルギの点で優れていると言われている.本研究では,これまでの研究で欠けて いた,これらの特徴を生かすためにはどのような動歩行が望ましいかという問 題が,四足歩行ロボットについて考察される.
歩行を計画するときは,歩容や移動速度,歩行周期,歩幅,胴体高さなど多 くのパラメータが存在する.本研究では,これらを「歩行の安定性」,「最大 移動速度」,「移動エネルギ」という三つの指標を考慮して決定することを提 案し,これらの指標とパラメータの関係を動力学的に考察している.そして, 結論として以下のことを得ている.
- 歩行周期が短いほど,安定に歩行できる.
- 最大移動速度を上げるためには,ゆっくりと大きな歩幅で歩行することが望ましい.
- 移動速度を最大にする歩行周期が存在する.
- ある移動速度に対して移動エネルギを最小にする歩行周期が存在する.
- 移動エネルギ優先の歩行ではトロット歩容(対角の二脚を同時に振り出す)が,移動速度優先ではペース歩容(左右について同側の二脚を同時に振り出す)が望ましい.
そして,Collie-2と呼ばれる四足歩行ロボットを用いて,以上の議論の妥当性と有用性を示している.
1989年 第3回日本ロボット学会論文賞受賞