日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1970Manipulation〈マニピュレーション〉計算機で制御されるバイラテラルマニピュレータ
東京大学 | 井上 博允 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
本研究は計算機で制御されるマニピュレータに反力の感覚を付与することにより,組み立て作 業のような微妙な力の調節を必要とする作業を実行させ得ることを示した世界最初の研究であ り,その後,ロボットの物体操作におけるコンプライアンスやスキルへと発展する道を開いた。 コンプライアント性を実現する反力の感覚はサーボの誤差信号を利用しており,クランクの回転, 手探りによるピンの穴への挿入,把持した物体の着地状態の検知を可能としている。また,ハン ドには合計15ビットの敏感な触覚が組み込まれ,触覚を頼りに物体を探し正確に掴むこと,物 体を動かすことなく手の方が物体の位置になじんで掴むこと,等,数々の器用な動作を実現して いる。この論文は昭和45年度の日本機械学会論文賞を受賞した。
1969年の実験記録の抜粋として,(1)手探りで物体を探して掴む,(2)物体を動かすことな く把持する,(3)把持した物体が着地したことを検知してその物体を手放す,(4)触覚と力覚を活 用した積み木作業,(5)ピンを穴から引き抜いて別の穴に手探りで挿入する,(6)クランクの回転, 等の動画が添付されている。