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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1974Manipulation〈マニピュレーション〉双腕協調の研究


中野 栄二MITI
尾崎 省太郎MITI
石田 健蔵早稲田大学
加藤 一郎早稲田大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

双腕(左右一対)の人間腕型マニピュレータを協調させて行う作業の典型として,双腕で比較的大きな対象物を運ぶ協調運搬を取り上げた。ここで「人間腕型マニピュレータ」とは,7自由度冗長マニピュレータとその先端のハンドを持つマニピュレータを指す。また,対象物として400x300x150[mm]の木の箱(底のある箱)を用い,その両サイドをマニピュレータの両ハンドでつかませて運ばせた。各7自由度の関節部に歪みゲージを用いたトーションバー形式の簡単な力センサを設計して設置した。ハンドの内外面に触覚センサを配置した。協調の方法として,右手を主導側,左手を従動側とし,右手で箱をある方向に動かし,そのとき左手手首部に生じる外力をリアルタイムで計算により求め,外力の方向にアームを動かす手法を採った。外力を計算するためには,アームの各部の重力をリアルタイムで計算して差し引く必要があった。サンプリング時間は5msとした。

なお,冗長自由度を制御するためにつねに肘位置を最も低くするlowest elbow の姿勢を考案した。そのほか,肩と手首を結ぶ線を中心として,肘がlowestである位置からの角度と上腕軸まわりの角度がかなり近い値であることを見いだし,これを利用して冗長自由度を制御する方法も採った。力を含めた逆運動学を計算するには当時のコンピュータでは速度の遅さが致命的だったため,空間を100mmほどの間隔で切り,そのメッシュ点に手首が来たときの各関節角度をオフラインで計算しておき,任意の手首位置における各関節角度を内挿して求める方法を考案して用いた。

また,外骨格形状のマスターマニピュレータを製作し,マスタ/スレーブ動作 でピンの挿入を行った

写真1 melarm II の写真
写真1 melarm II の写真
写真2 melarm I の全体写真
写真2 melarm I の全体写真
写真3 melarm I の両腕協調運搬動作の写真
写真3 melarm I の両腕協調運搬動作の写真