日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2008Manipulation〈マニピュレーション〉人間の直接教示動作の統計的性質に基づいた折り紙ロボットの目標軌道とセンサフィードバック則生成法
田中 健太 | 京都大学(現:本田技術研究所) |
木原 康之 | 京都大学(現:株式会社IHI) |
横小路 泰義 | 京都大学(現:神戸大学) |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
本論文では,人間による直接教示データの統計的性質に基づき,目標軌道とセンサフィードバック動作を生成する新しい手法を提案する.人間の教示動作の統計的性質は,隠れマルコフモデルでモデル化される.ノミナルな目標軌道は複数回の教示軌道を時間的に正規化した後に空間的に平均化することで生成し,センサフィードバック動作は教示データから得られた隠れマルコフモデルの出力確率分布のパラメータを用いて生成される.教示データの速度分散と速度と力の正準相関に基づいて,人間の実演データからセンサフィードバックが適用されたと考えられる区間を抽出し,その区間のみにセンサフィードバック動作を適用する.実験によって折り紙の谷折り作業の成功率と折りの質が,提案手法を用いることで実際に向上したことが確かめられた.
本論文での提案手法は,折り紙動作に限らず,明示的に記述することが難しいセンサフィードバック則を実演によってロボットに教示する方法として一般性のあるものである.
2010年 第24回日本ロボット学会論文賞受賞