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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2011Manipulation〈マニピュレーション〉高速ロボット


石川 正俊東京大学
並木 明夫千葉大学
妹尾 拓東京大学
山川 雄司東京大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

従来のロボットシステムは,30 fpsのビジョンと低速なロボットから構成されており,それぞれの低い性能に起因して認識と運動の速度向上は困難であるため,静的もしくは準静的な状態でのマニピュレーションが限界であり,タスク実現の高速化も困難にしていた.

本研究では,人間や従来ロボットの性能をはるかに超える高速知能ロボットの開発を目的とし,1,000 fpsでの画像処理が可能な高速ビジョンと瞬間的な動作が可能な高速多指ロボットハンドから構成されるシステムを開発することによって,対象のダイナミクスをミリ秒オーダで認識した上で,柔軟な対応・瞬発的な反応・高速な運動を可能にし,実際に様々な高速マニピュレーションを実現している.

特に,開発者らは,ロボット研究の以前に開発してきた高速ビジョンの性能に合わせて,2002年に小型・軽量で高出力なアクチュエータを一から設計・開発するとともに,0.1秒で180度の開閉運動が可能な高速多指ロボットハンドを開発した.この高速多指ロボットハンドは,3本指8自由度と2自由度の手首関節から構成されており,質量は約1 kgと軽量なロボットハンドである.また各関節軸にハーモニックドライブ○Rを用いることにより,バックラッシの無い機構を実現し,高速性を維持しつつ高い位置精度を可能にしている.

開発した高速多指ロボットハンドの応用分野は極めて広く,現在までに具体的なタスクとして,生卵キャッチ,高速ドリブル,高速ペン回し,ダイナミックリグラスピング,片手紐結び,飛翔微小物体キャッチ,布折りたたみ,じゃんけんを実現することにより,本システムの優れた性能を示し,すべてのタスクを高速視覚フィードバックのみで実現している点に特徴がある.このように高速知能ロボットシステムの構築と同時に,従来困難とされてきたタスクを高速に実現しており,実機実験を基にシステムの高い実用性を実証している.

本開発技術は,FA・製造ラインの高速化・高精度化,ロボットの高速視覚制御,柔軟対象物の制御,人間機械協調,人間動作支援等への応用が期待されており,本研究の最終目的は,ロボットの物理的な動作限界を極める超高速ダイナミックマニピュレーションの実現である.