日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1995Sensing〈センシング〉仮想ホロプタを用いた実時間両眼追跡
喜多 伸之 | 電子技術総合研究所 |
S. Rougeaux | フランス国立工芸学校企業情報研究所 |
國吉 康夫 | 電子技術総合研究所 |
坂根 茂幸 | 電子技術総合研究所 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
移動物体に注視点を保持するために,両眼画像から対象の位置検出を行なう手法を提案し,能動ビジョンシステムの両眼追跡制御を実現した.
提案手法では背景や他の物体からの追跡対象の分離抽出を零視差フィルタにより行なった(図1).ただし,これだけでは対象の奥行き方向の位置が検出できず追跡が行なえないため,仮想ホロプタの概念を導入し,ソフト的な画像のシフト処理でカメラ回転を代用し高速にホロプタを奥行き方向に移動することで,実時間両眼追跡を実現した(図2).
本論文では零視差に基づく対象の分離抽出について理論的に解析し,対象の追跡の安定性について見通しを得るとともに,実際の能動ビジョンシステムを用いた実験によりそれを確認している.
提案手法は“観察に基づく協調”[4]のために移動ロボット視覚に応用された. さらに,後にオプティカルフローとの併用などにより頑健性・適用性が強化されている[5].
第10回(1996年)日本ロボット学会論文賞受賞