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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2001Sensing〈センシング〉把持力制御のための曲面状弾性フィンガー


前野隆司慶應義塾大学
廣光慎一慶應義塾大学
河合隆志慶應義塾大学

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

本研究では、まず、人の物体把持に関する従来の知見を整理し、人の把持力制御に関する新たな仮説を提案した。すなわち、人が指で物体を把持し、把持力を制御する際には、物体を安定的に把持している固着領域の大きい状態と、物体全体が滑ってしまう可能性の高い固着領域の小さい状態を、指の内部ひずみ分布の変化から推定するとともに、この情報を用いて把持力制御が行われている、という仮説を立てた。ここで、固着領域とは、接触領域内部の、物体と指とが滑らずにスティックしている領域である。一方、滑っている状態を滑り領域と呼ぶ。次に、人の指を模した曲面状弾性フィンガーにより、この仮説に基づけば、人口の弾性フィンガーによる把持力制御が行えることを有限要素解析および実験により示した。すなわち、まず、固着領域が小さくなったら把持力を強め、大きくなったら把持力を維持するという制御法を提案し、有限要素解析によりその妥当性を確認した。次に実際に曲面状弾性フィンガーを作成し、把持力制御実験を行うことによって、本フィンガーにより、人間が行っていると思われる制御により重さの不明な物体の把持力を制御し物体を持ち上げられることを明らかにした。

第17回(2003年度)日本ロボット学会論文賞受賞
ファナックFAロボット財団論文賞