本エントリーは会長在任中に投稿された記事です。
浅田は退職前は兼任だったが,退職後は専任になってからは,大阪大学先導的学際研究機構共生知能システム研究センター戦略顧問(特任教授)として働き,メインのしごとの一つが,研究センターの国際シンポジウムの主催である.RSJにも協賛いただいた.The 2nd International Symposium on Symbiotic Intelligent Systemsと銘打ち,今年の1月31日,2月2日の二日間,大阪梅田のスカイビル(空中庭園のあるビル)で同時通訳を入れて,一般の方々にも参加してらった.じつはこのシンポジウム,前身の未来戦略機構認知脳システム学研究部門(2013年2月発足:部門長浅田)時代から続けており,常連スピーカーもいるが,毎回テーマに準じて多彩なゲストを及びしている.今回はCognitive Robotics,Technology, Ethics, and Culture,Action and Embodiment,Human-Robot Collaboration,Interaction Systemsなどのテーマを扱い,最後に「Android Meets Ethics」というタイトルのパネル討論を行った.パネリストには,石黒浩センター長をはじめ,IITのSandini教授,デルフト工科大のFilippo Santoni de Sio講師,そして,イタリアミラノのダ・ヴィンチ国立科学技術博物館のFiorenzo Marco Galli館長,さらにSF作家の瀬名秀明さんにも参画頂いた.最初に瀬名さんにシンポジウム全体の印象や瀬名さん自身の未来社会イメージを語っていただき,そののち,関連する課題,特に倫理関係に関して,人間自身がどのように倫理的に振る舞うかで,例によって石黒さんが極端な表現で,人間自身のモラルの課題を列挙し,人工物の倫理設計が困難を極めることを指摘した.また,SDGsに絡んで日本のジェンダーバランスの悪さが指摘され,パネリストが全員男性であることは,イタリアでは事前チェックがあり,許されないとGalli館長に指摘され,日頃,その努力をしていたつもりなのに,そうでない結果になってしまい,反省,反省である.シンポジウムのより詳細な報告は若手に頼んで,学会誌に書いてもらう予定で,ここらあたりで止めておく.
日本ロボット学会
会長 浅田 稔
写真:全体集合写真.パネル討論会(司会:浅田)やポスターセッションの様子.