第131回ロボット工学セミナー実施報告書
ロボットの作り方~移動ロボットの基本とROS によるナビゲーション実習~
開催日時:2020年11月23日(土),24日(日)
会場:オンライン開催
参加者数:44 名(20 グループ)
オーガナイザー:ラミレス イクシェル(産業技術総合研究所),池 勇勳(北陸先端科学技術大学院大学)
サブオーガナイザー:ガルシア グスタボ(奈良先端科学技術大学院大学),野口 宏明(パナソニックアドバンスドテクノロジー(株))
セミナー概要
本セミナーでは,移動ロボットの研究を始めようとしている学生,研究者,企業の方を対象に,ROS (Robot Operating System)をベースとし,LiDAR,3 軸ジャイロセンサ,3 軸加速度センサ,3 軸磁気センサーを搭載した(株)ロボティズ社の TURTLEBOT3 Burger を利用したロボットの動作やナビジェーションプログラム作成を体験していただきました.また, 2 人の講師を招い, ROS のパッケージ及び移動ロボットのナビゲーションに関する理論について講演していただきました.具体的なセミナー内容とスケジュールを以下に示します.
1日目(1/23(土) 10:00-16:30)
10:00-10:30 セミナーの進行につきまして
10:30-12:00 講習環境の確認とROSの基本操作
12:00-13:00 昼休み
13:00-14:00 講義1「ROS を用いた自律移動ロボットのシステム構築」原祥尭(千葉工業大学)
14:00-17:00 移動ロボットの動作確認
2日目(1/24(日) 10:00-16:00)
10:00-11:00 講義2「移動ロボットナビゲーション概論」上田隆一(千葉工業大学)
11:00-12:00 ROSを用いたマップ取得
12:00-13:00 昼休み
13:00-14:30 マップを利用したナビゲージョン操作1
14:30-15:30 マップを利用したナビゲージョン操作2
15:30-16:00 課題と質疑
講義1「ROSを用いた自律移動ロボットのシステム構築」原祥尭(千葉工業大学)
- 自律走行を実現するためのROSパッケージ
- 自己位置推定とSLAMの基本
- 各パッケージのアルゴリズム
- 自己位置推定(amcl)
- SLAM、地図生成(gmapping)
- 大域的経路計画,局所的動作計画(move_base)
- ROSに関する情報の調べ方
- ROSでの開発に関する知見
- まとめ
講演資料URL:https://www.slideshare.net/hara-y/ros-nav-rsj-seminar
講義2「移動ロボットナビゲーション概論」上田隆一(千葉工業大学)
- ハンドコーディングによる実装各パッケージのアルゴリズム(初心者向けの基本的な方法,しかし意外に難しい)
- 自己位置とサブゴールの利用(モノから座標へ)
- コストの考慮と探索手法(合理的な経路を自動で見つける)
- ポテンシャル場の利用(なめらかな経路生成)
- 最適制御とナビゲーション(ナビゲーションは制御)
- end-to-end 学習(ナビゲーションは最適制御だと言ったけど,それは半分嘘)
- まとめ
講演資料URL:https://b.ueda.tech/?post=20210124_rsj_seminar
実習「ROS によるナビゲーション実習」ラミレス イクシェル(産業技術総合研究所)
Zoomの挙手機能を使用し,各グループの作業の進捗状況を常に確認することにより,可能な限り,全てのグループの作業完了を確認してから,次の作業に移る形式で実習を行った.
- 講習環境の確認とROS の基本操作
- 移動ロボットの動作確認
- ROSを用いたマップ取得
- マップを利用したナビゲージョン操作
- 障害物認識と回避(課題)
講演資料URL:https://igra9.github.io/ros_rsj_tutorial/
セミナーの振り返り
- セミナーの間,運営側との間の意見交換(スケジュール管理,トラブル情報など) は SLACK を利用
- 実習チャット機能は,人数が多くないセミナ-においては,チャット機能より,口頭で発言してもらうのがより効果的
- 実習を進める講師の立場としては,チャット機能のコメントを同時に確認するのは結構難しく,参加人数もそこまで多くないので,できれば口頭で直接発言してもらうのが望ましい
- トラブル対応について
- ブレイクアウトルームをグループごとに事前に作成
- トラブルが発生次第,該当するブレイクアウトルームに異動してもらい,対応可能なスタッフ(サブオーガナイザー,ロボティズの方,上田先生,アルバイト)が対応
- 対応が難しかったトラブルとして は,セキュリティー問題(Proxy 等), Windows 上で仮想マシンによるUbuntu のインストールしたグループなどが挙げられる
アンケートでのコメント
- ブレイクアウトルームで対応していただいたスタッフの方には非常に丁寧に対応していただき助かりました.ありがとうございました.
- 実習に関して,もう少し全体の進行を進めてあげるとよいかと感じました.無言の時間も多く,作業が終わっているのに停滞する時間も見受けられましたので,進行の仕方を工夫するとよいと感じました.
- やはり実習形式のセミナーをオンラインだとエラー対応などが難しく,ブレイクアウトルームにいる時間がながく,全体の進行についていけなくなってしまったのは非常に残念でした.
- ROS のセットアップ(Ubuntu のインストール,ネットワーク接続等)に関して,社内セキュリティ上ハードルが高かったです.今回は暫定的な方法で参加できました(Virtualbox 等の利用)が,セットアップにかなり苦戦したので,Windows PC 等でのセットアップ方法なども記載いただけますと助かります.
謝辞
まず,ご講演をご快諾いただいた,原様(千葉工業大学)と上田様に厚く感謝申し上げます.積極的にセミナーに参加していただいた参加者の皆様にも感謝申し上げます.また,ロボットの手配やセミナー当日にも積極的にサポートしていただいた柴田様(ロボティズ),北島様(ロボティズ),サブオーガナイザーのガルシア様(奈良先端科学技術大学院大学),野口様(パナソニックアドバンスドテクノロジー)にも大変お世話になりました.心より感謝申し上げます.最後に,企画・運営におきましては,事業計画委員会の皆様をはじめ,ロボット学会事務局の水谷様,村上様にも大変お世話になりました.厚く御礼申し上げます.