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第133回 「こんなときこそ,ロボット」-ポスト・コロナ社会で活躍するロボットと人とのリレーションシップ(実施報告)


第133回ロボット工学セミナー実施報告書

「こんなときこそ,ロボット」-ポスト・コロナ社会で活躍するロボットと人とのリレーションシップ

 

開催日時:2021年4月27日(火)10:30~17:00
会場:オンライン開催
参加者数:48名
オーガナイザー:廣川潤子(株式会社 東芝)
サブオーガナイザー:西田祐也(九州工業大学)

 

セミナー概要

2020年の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を経て,私たちをとりまく社会構造が大きく変化しています.本セミナーでは、ポスト・コロナ社会におきまして、自動運転技術やAIシステム、人とのインタラクション能力を活用し、いちはやくニューノーマルの社会に導入され、活躍しているロボットの事例を中心に、人とロボットの新しい関係性を構築する取組について、最近の技術動向・研究の最前線からロボットの実用シーンまでをご紹介いただきました。

本セミナーは、日本ロボット学会事務局をホストとして、講師・聴講者ともに遠隔配信により開催されました。配布資料は、クラウドサービスbox©により共有されました。質疑応答は、クラウドサービスSlido(スライド)©により、参加者が投稿した質問を司会が読み上げ、講師がそれに口頭で回答する形式で実施しました。また、参加者の利便性向上のため、YouTube©による見逃し配信サービスの試行を行いました。配信期間は、セミナー終了後から2021年5月5日(水)23時59分まで、参加者限定で公開されました。

 

第1話 ニューノーマルとロボットのこれからの関係

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 堂前 幸康 様

社会を一変させた新型コロナウイルスが社会に与えたインパクトについて、製造・物流を中心としたサプライチェーンと関連するロボットの研究開発についてどのような変化が生じているのか、その先のあり方についてロボット研究者による視点で分析した結果について解説をいただきました。物流のロボット化、人と協調して働く協慟ロボットのニーズの高まりに対する課題として、AIによる物体操作マニュピレーション(深層学習によるバラ積み取り出し、CNNによるシミュレータピッキング学習モデル、特徴量との併用)について、また産業技術総合研究所のサイバーフィジカルシステム研究棟での人・機械協調AI研究の取り組みについて、デジタルツインのヒューマンモデル、人の実演に基づくロボットのツール操作など、実験の様子を詳しくご紹介いただきました。

 

第2話 あらゆる物流現場の搬送を無人化する、CarriRo無人化ソリューション技術と導入事例

株式会社ZMP 笠置 泰孝 様

本講演では,医療・農業・ロボットなど様々な分野で応用されている多バンド・多波長の分光イメージングについて,基礎から説明頂きました.これまでに提案されている分光イメージングシステムの原理と各システムの特徴を学ぶことができました.また,深層学習を取り入れた分光イメージングや最新の研究成果である3次元センシングへの新しい試みも紹介頂きました.

  

第3話 JR東日本における駅サービスロボットの取組み~モビリティ変革コンソーシアムの取組み~

東日本旅客鉄道株式会社 福田 和人 様

本講演では、JR東日本の主催するモビリティ変革コンソーシアムと、その取組み一つである、ロボット活用ワーキンググループの活動について、詳しくご説明いただきました。中でも、駅サービスロボットのトライアルとして、案内ロボットのAI育成 システムと、での自律移動ロボットの検証および基盤連携について、さいたま新都心駅、2020年に山手線・高輪ゲートウェイ駅で行われた実証実験の最新の結果を中心にご紹介いただきました。明らかになった課題を通じて、案内ロボットを使ってみたくなる外観、AIが誰の課題を解決するのかターゲティングの重要性、多種多様な自律移動ロボットの管理・メンテナンスなどについて問題提起いただきました。さらなる実証実験と駅サービスロボットの目指す世界、Society5.0に根差した「ロボットと共存する未来の駅」の姿についてご提示いただきました。

 

第4話 コミュニケーション・ロボットPaPeRoiによる高齢者見守りサービスについて-ご高齢者が一番欲しいのは『安心』ではなかった

情報化研究会主宰(元NEC みまもりパペロ・プロジェクト責任者)松田 次博 様

2021年4月時点で5つの自治体で運用されている、コミュニケーション・ロボット、PaPeRo iを使った高齢者見守りサービス「みまもりパペロ」について、2017年のサービス開発から運用に至る経緯、見守りを実現する機能とクラウドサービスの仕組みづくり、利用者のインタビューを通じた評価、導入しやすい料金体系などについて具体的にご紹介いただきました。実証実験では終わらせない、実用サービスとして運用する強い意志、およびロボットを介して自治体・警備会社・病院など、地域が連携するネットワーク構築の重要性についてご説明いただきました。

 

まとめ

本セミナーは、コロナ禍の社会で活躍が期待されるロボットの実用例を中心に講演を企画しました。最先端の学術研究者、ロボット事業のユーザー、産業用および家庭用のロボットサービスの提供者、さまざまな立場の代表的な方々にご講演いただきました。ロボットの社会実装が進む中で、ユーザーがロボットを導入し、使い続けてもらうための料金体系、サービスの仕組づくりや新しいサービスの提案など、大変示唆に富む内容だったと思います。今回の講演がみなさまの研究活動の一助になれば幸いです。 みなさまからいただいたご質問は、ロボット運用の安全面や、AIや自動運転技術の詳細についていくつか挙がりました。 

 

謝辞

事業計画委員会のみなさまをはじめ、サブオーガナイザをお引き受けいただいた西田様には大変お世話になりました。事務局の村上様には、各講演者それぞれの背景画像、休憩中のBGM、注意事項等の演出や、見逃し配信まで、遠隔配信を全てサポートいただきました。最後に、ご講演いただいた講師の先生方、多数お集まりくださいました参加者の皆様に御礼申し上げます。

 

 

文責  廣川潤子(株式会社 東芝)