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日本ロボット学会誌42巻2号「Cyber-Physical-Human Systemsのためのシステム制御技術」


「Cyber-Physical-Human Systemsのためのシステム制御技術」特集について

 日本ロボット学会誌42巻2号「Cyber-Physical-Human Systemsのためのシステム制御技術」 

  • 人とロボットの協調制御:システム制御の観点から(山内 淳矢・畑中 健志)
  • 人の意思決定を考慮したネットワークロボティクス制御のためのメカニズムデザイン(和佐 泰明・平田 研二)
  • サイバー攻撃を想定した制御システムデザインと運用(澤田 賢治)
  • ビジュアルナッジ―視覚刺激による人の行動誘導技術―(井上 正樹・武田 匡彦・小幡 遼冴)
  • モデル予測型行動計画を用いた他者に配慮するモビリティの実現(奥田 裕之)
  • 社会的選好を考慮した複数エージェントの協調ナビゲーション(柴田 一騎)
  • 身体動作による指示とロボットの自律システムの融合―指差しジェスチャを用いた探索手法拡張の事例―(出口 秀輝)

 Cyber-Physical Systems(CPS)は,物理空間で起こる事象と仮想空間における計算処理が相互に作用する閉ループシステムです.そのため,Society 5.0やSDGsなどの社会課題を扱う際に有用な枠組みとして注目されており,学際的研究が盛んに行われています.CPSのなかでも,人を中心としたシステムの実現を目指し,人とシステム間の相互作用を研究する分野は,Cyber-Physical-Human Systems(CPHS)とよばれています.このようなCPHSに対して,閉ループシステムを対象とするシステム制御分野の知見は大いに期待されています.
 本特集では,CPHSのなかでも特にロボティクス分野に関連した,システム制御技術について,当該分野の第一線でご活躍されている先生方に論じていただきました.山内先生,畑中先生には人とロボットの協調制御に関するこれまでの研究を概観いただき,今後の展望を述べていただきました.和佐先生,平田先生には人の意思決定を考慮したネットワークロボティクス制御のためのメカニズムデザインについてご解説いただきました.澤田先生にはサイバー攻撃を想定した制御システムのデザインと運用方法についてご解説いただきました.井上先生,武田先生,小幡先生には視覚刺激を用いて,自動車の運転ドライバーに加速行動や衝突回避行動を誘導する技術(ビジュアルナッジ)をご解説いただきました.奥田先生には自動車や移動ロボットなどのモビリティシステムを対象として,他者を行動予測モデルに基づき配慮する方法や,他者を所望の交通状況に誘導する予測制御の枠組みをご解説いただきました.柴田先生には社会的選好を考慮した複数エージェント(人やロボット)の協調ナビゲーションについてご解説いただきました.出口先生にはユーザが指差しジェスチャを用いて指定した物体を未知空間から探索するロボットナビゲーションについてご解説いただきました.
 以上のご解説のとおり,CPHSに関連するシステム制御技術は非常に多岐にわたります.当該分野は,今後も周辺分野を巻き込みながらさらに発展することが予想されます.本特集がその一助となることを願います.
 末筆ではございますが,大変お忙しいなかご寄稿いただきました執筆者の方々,編集委員および事務局の皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます.(宮野竜也 豊田中央研究所)