「AI時代の物理的ヒューマン・ロボットインタラクション」特集について
日本ロボット学会誌42巻10号「AI時代の物理的ヒューマン・ロボットインタラクション」
【展望】
- AIとの融合がもたらす物理的ヒューマン・ロボットインタラクションの将来展望(平田 泰久)
【解説】
- 外骨格ロボットの運動学習手法(古川 淳一朗・森本 淳)
- 物理的インタラクションと人間のモデル化―接触を伴う物理作用・運動・行動のモデリング―(吉田 英一・鮎澤 光)
- ロボティクスが拓く高齢者のモビリティ技術と自立支援(加藤 健治)
- アシストデバイスのIoT化・ビッグデータ収集とその活用(松本 吉央)
- 実時間モデル予測制御によるインタラクション(小林 泰介)
- 人とロボットの温熱コミュニケーション(大澤 友紀子)
- 可変アドミッタンス制御に基づく移動支援インタラクション(板寺 駿輝)
本特集号は,人とロボットの協調形態の一つである物理的なヒューマン・ロボットインタラクション(pHRI)に着目し,近年のAIの発展を踏まえたこれからのpHRIの発展についてご議論いただくことを目的としています.
ロボットはpHRIを通じて人に対して身体ダイナミクスや精神面にポジティブな影響を与えることが期待され,産業・医療など様々な分野で応用を目指した研究が長年行われています.そのなかでも,実環境で人々の安全を守ったり,身体能力を拡張したりするような役割をロボットが果たすための技術として発展してきました.一方で,近年目覚ましい発展を遂げているAI技術は,物理インタラクションを伴わない形で人の知能を補助し社会を変革しようとしています.このような現状のなかで,物理接触を活用することの意義や新たなpHRIの展開を見つめ直すべく本特集号を企画いたしました.
今回,pHRIを学習制御,人のモデル化,ビッグデータ活用,新たなモダリティなど様々な角度のアプローチに関する記事をご寄稿いただきました.本特集号が,これからのpHRI研究への期待について議論するきっかけとなれば幸いです.最後に,本特集号にご寄稿いただきました先生方に心より御礼申し上げます.
(板寺駿輝 産業技術総合研究所)