複雑高精度機械の組立技術研究専門委員会の活動の成果を第42回学術講演会オーガナイズドセッション(OS)において発表した。
- 名称 : 第42回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2024)
- 日時 : 2024年9月4日(木)
- 場所 : 大阪工業大学 1A3、1A4
- OS名称 : 人・ロボット協調による『合業』型生産システム
- OS番号 : OS16
- OS内容 : 論文発表 (8件)
- オーガナイザー : 大隅久(中央大学),村上弘記((株)IHI), 林浩一郎((株)IHI),阿部聡(MSTC)
概要
人手不足対応・生産性向上に向けた将来の生産システムでは,ロボットとの分業が不可能な作業へのロボットによる作業者支援,“合業”が必要となる.本OSは,ロボットが人に合わせて人間的に動作する仕組みを,支援動作の汎用化,ロボットの階層制御,軽量構造ロボット,サイバーフィジカルシステムの利用による協調安全等で実現することを目指し,そのための技術課題を明らかにし未来の生産システムに資することを目的とする.
結果
参加者50-60名と非常に盛況で議論も活発に行われた。以下に発表論文概要を示す。 (研究専門委員会関係者のみ記載)
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発表者 |
テーマ |
概要 |
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○阿部 聡(MSTC) 大隅 久(中央大学) 吹田 和嗣(大同大学) 複雑高精度機械の組立技術 研究専門委員会(RSJ) |
複雑かつ大型機械装置等の締結部解体用革新的システムへの合業の適用検討
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複雑かつ大型機械装置等の締結部解体用革新的システムへの合業の適用について検討結果を報告する. |
2 |
○相山 康道(筑波大)
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合業におけるロボットの行動規範に関する検討 |
人の行動を規範とする人-ロボット協調である合業においては,ロボットが人の行動(動作,声がけ,視線)からその行動目標を推定し,その目標に合わせて協働作業を進めることが重要である.本報告では,どのような人の行動を計測し,ロボットはどのような規範に基づいて行動を行うべきか,搬送・組立を対象として検討を行った結果を紹介する. |
3 |
○守屋 俊夫((株)日立製作所)
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自律・協調型システムにおける創発と制御に関する一検討 |
人やロボットなどの複数の自律個からなるシステムでは、それらの相互作用により、個々の性質の単なる総和にとどまらない新たな性質が、全体として発現することが期待される。一方で、その挙動の予測や制御は複雑になることが多く、一般に個々のモデルやパラメータ、状態を詳細に分析する必要がある。本稿では、これが一部しかわからない場合でも、望む方向に制御できる可能性があることを、ゲーム理論等での問題設定を例に示す。 |
4 |
中坊 嘉宏(産総研) ○吹田 和嗣(大同大学) 穴田 啓樹(アトリエ)
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行動分析に基づいた安心停止スイッチの適用と評価 |
人間の行動原理を考慮した停止機能を「安心停止スイッチ」と定義し,人と機械の協調安全技術として提案する。この有効性を確認するために、実際に稼働しているロボットレストランで働く従業員にアンケート調査を実施し、その危険回避効果や今後の行動への影響を確認した。その結果を応用行動分析学に基づきモデル化した「安全行動設計図」として整理し、その基本的な効果を確認することができたので報告する。 |
5 |
○林 浩一郎(IHI) 砂川 拓哉(IHI) 村上 弘記(IHI
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「合業」へのワイヤ駆動制御技術の適用性について |
生産現場では,省力化や作業ミス防止トレーサビリティの確保などの目的で,手作業の状態や進捗をモニタリングする技術が求められている。本研究では,3Dカメラから検出した作業者の姿勢情報から作業内容を分類し,分類結果を言語化して記述可能なシステムの開発を進めている。本稿ではではこのうち,分類結果を言語化する手法に関する詳細および基礎評価結果について述べる。 |
6 |
○宮本 杏菜(中央大) 谷口 和輝(中央大) 濱崎 峻資(中央大) 大隅 久(中央大)
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共同運搬作業における持ち上げから移動への人間の状態遷移タイミングの予測手法の検討 |
分業不可能な2人作業における人とロボットの協働について、共同運搬作業を例に取りロボットに求められる機能を明らかにする。共同運搬作業は大きく、持ち上げ、移動、持ち下げの三段階に分けることが出来る。本研究では持ち上げから移動の動作遷移に着目した。そこで持ち上げてから移動開始するまでの人の挙動を解析し、その結果から人間の状態遷移タイミングの予測を行った. |
7 |
○鮎川 駿平(中央大) 稲村 和浩(中央大) 濱崎 峻資(中央大) 大隅 久(中央大) |
ねじ締め作業において人間が作業対象としたねじ穴のリアルタイム予測 |
ねじ締め作業の際の、作業者の手首軌跡をOpenPoseにより計測し、深層学習により軌跡データを学習させることで作業者が作業対象とするねじ穴をリアルタイムで判別する。さらに、効率化するために、ニューラルネットモデルにLSTMを採用し、 軌跡の時系列情報を含めることで、ある程度の初期動作でねじ穴を予測するシステムを開発している。 |
8 |
○村上 弘記(IHI)
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大型構造物の組み立て作業のロボット化における合わせ技「合業」の必要性 |
大型構造物の組み立て作業においては対象物の重力による変形などの影響でいくつかの箇所の相対位置決めをしながら組み立てる必要があり多数の作業者が必要であるまた、このような作業は作業箇所も移動していくことから自動化・ロボット化することが難しい作業者の協力による作業の実現の状況からロボット化に向けて「合業」の必要性を検討し実現のための課題を検討する. |