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活動報告2025:ソフトロボティクス研究専門委員会


概要

日本ロボット学会ソフトロボティクス研究専門委員会は、日本国内の関連研究者による学際的な研究コミュニティの構築と、ソフトロボティクス分野のさらなる振興のために2017年4月から活動している。2025年4月からは常設(I種)の研究専門委員会として活動を開始した。本年も、研究会やシンポジウムの開催のほか、関連学会にてオーガナイズドセッション(OS)の実施を継続してきた。

活動の中から、ロボティクス・メカトロニクス講演会2025シンポジウム「 “いいかげん”を科学して未来を創るソフトロボット学6」について紹介する。


シンポジウム開催報告

日本機械学会ロボティクスメカトロニクス講演会(Robomech 2025)期間中の2025年6月4日にシンポジウム「 “いいかげん”を科学するソフトロボット学6」を開催した。第6回目になるこのシンポジウムは、ハイブリッド形式とし、やまぎんホールでの対面開催と並行してインターネット配信を行った。なお、この企画は科研費新学術領域研究「ソフトロボット学」との共催で、コーディネータ:望山洋(筑波大学)によって実施された。今回のシンポジウムは「Beyond Control」をキーワードに、講演4件、若手研究者による講演2件、パネルディスカッションで構成した。各講演の概要をまとめる。


「ソフトロボットの制御: 絶望からの一手をやわらかく考える」望山 洋(筑波大学)

ソフトロボティクスの力学と制御について概観した。これまで制御が難しいとされていたソフトロボットの制御に関する具体的な取り組みが進んできたことが紹介された。ソフトメカニズムの開発と柔軟体モデリングが先行していたが、AIの発展が著しく、その影響を受けている。クラウド型の大規模な計算能力を必要とするAIに対して、省電力・軽量・コンパクトな計算機の必要性が議論された。研究例として、Roddyと呼ぶ、6軸力センサとリボン鋼を組み合わせたシステムが紹介された。


「ソフトロボティクスの冒険」新山 龍馬(明治大学)

国際会議IEEE RoboSoft 2025ローザンヌの参加報告の後、来年のRoboSoft 2026の開催地が金沢であることがアナウンスされた。ソフトロボティクスの技術ロードマップが示され、ソフトロボティクスの応用先として、製造業・サービス業の次の分野について議論された。具体的な研究例として一連のインフレータブルロボットの研究が紹介された。ソフトロボティクス研究者はいかに勇敢かつ大胆なビジョンを描けるか、という問題提起があった。


「自励振動で目指すフィジカルインテリジェンス」難波江 裕之(東京科学大学)

自励振動を用いたアクチュエーション技術に基づいて知的な動作をフィジカルなシステムによって実現しようとする取り組みが紹介された。フィジカルベースインテリジェンスの例として、ソフトアクチュエータで駆動される移動ロボットによる環境利用がある。空気圧を使った自励振動のほか、静電自励振動やピエゾ素子の利用などの例が議論された。


「『いいかげんさ』を活用する生命のシステム」鈴森 康一(東京科学大学)

ソフトロボティクスに関連して、講演者の提唱する「いいかげん」についてさまざまな観点が示された。研究例として、深層生体模倣に基づく研究が示された。技術が発展し人口が大幅に増加した特異な時代に我々が暮らしていることを踏まえて、人類の行末について議論がなされた。


【ソフロボ未来を語る講演】
「身体がもたらす自律的な知性」吉田 尚人(京都大学)

身体がもたらす自律的な知性の可能性について、研究例と共に議論された。書籍、『自律的行動創発システムと身体性〜機械獣の構成論〜』(コロナ社)が紹介された。現在のロボットが人間に依存した目的を持つ存在であるという観点から、対比して、内受容感覚と身体の恒常性(ホメオスタシス)に基づく動機づけや行動生成の枠組みの必要性が議論された。


「Embodied Intelligence: A New Paradigm for System & Control(身体性知能とシステム・制御)」大脇 大(東北大学)、福原 洸(東北大学)、増田 容一(大阪大学)

3人の研究者による共同講演が行われた。『身体性知能とシステム・制御』(コロナ社)が近日出版予定であることが報告された。身体性の歴史として、Brooksのsubsumption architecture から受動歩行機械、二関節筋、物理リザバー計算まであらためて整理がなされた。神経生理学とANN(人工ニューラルネットワーク)の間の相互の影響を踏まえて、身体性とAI・ロボットの接続について議論があった。研究例として、筋や腱をチェーンやメッシュで模擬した深層生体模倣ロボットが紹介された。


【パネルディスカッション】

全講演者が登壇し、参加者からの質問をきっかけにさまざまな討論が行われた。例えば、飼い犬の散歩を例に、身体をもった自律システムの新しい「制御」のあり方が議論された。


以上。


委員長:新山龍馬