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日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan1976Business〈企業の研究開発〉トランジスタの自動組立システム


江尻 正員日立製作所 中央研究所
宮武 孝文日立製作所 中央研究所
柏岡 誠治日立製作所 中央研究所
目瀬 道弘日立製作所 中央研究所
嶋 好博日立製作所 中央研究所
酒匂 裕日立製作所 中央研究所
坂本 雄三郎日立製作所 半導体事業部
山崎 勇日立製作所 半導体事業部
浜田 利満日立製作所 生産技術研究所

この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。

視覚を持った自動機械の先駆けとして,1973年,計算機制御による世界最初のトランジスタ自動組立システム(写真1)を構築し,稼動させた。これは,0.4mm角~0.6mm角程度の微小なトランジスタチップに対し,その表面パターン画像から電極位置を自動認識し,そこと外部リード端子との間を金の細線によって自動配線するものである(写真2)。その特徴は
  1. 2次元局部メモリを用いた高速の実時間型パターンマッチング技術(図1)
  2. 複合型部分パターンマッチング法による高信頼度の位置認識技術(図1)
  3. 1台の計算機で計50台の組立機を群制御する計算機制御技術
にある。視覚を用いた世界最初の本格的な自動機として実用されるとともに,IC,LSIの組立へも用途が拡大された。 この部分パターンマッチングによる位置認識技術は,米国への技術輸出や装置メーカーへの技術供与を通じて瞬く間に業界標準方式となり,半導体生産の中核技術として産業の発展に大きく貢献した。現在も,世界中の半導体産業で,組立の基本技術として広く実用されている。
写真1 トランジスタ組立システム
写真1 トランジスタ組立システム
写真2 組立結果
写真2 組立結果
図1 複合型部分パターンマッチング法
図1 複合型部分パターンマッチング法
1975年 日本機械振興協会賞受賞,1978年 日本産業技術大賞(内閣総理大臣賞)受賞

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対応論文


柏岡,江尻,坂本:時分割パターン認識技術による群制御トランジスタ組立システム,(PDF, 2.1MB)

電気学会論文誌C 96巻,1号,pp.9-16,Jan. 1976 .

S. Kashioka, M. Ejiri, and Y. Sakamoto:A Transistor Wire-Bonding System Utilizing Multiple Local Pattern Matching Techniques

IEEE Trans. SMC, Vol. SMC-6, No. 8, pp. 562-570, Aug. 1976.

M. Mese, T. Miyatake, S. Kashioka, M. Ejiri, I. Yamazaki and T. Hamada:An Automatic Recognition Technique for LSI Assembly

Proc. 5th IJCAI, pp. 685-693, 1977.

関連論文


[1] 嶋 好博,柏岡誠治,江尻正員
部分画像の出現確率を用いた高速化パターンマッチング方式
電子通信学会論文誌D J68-D巻,2号,pp.161-168, Feb 1985

[2] 柏岡誠治,嶋 好博,江尻正員
部分パタン―ンマッチングにおける標準パターンの選択方式
電子通信学会論文誌D J68-D巻,5号,pp.1103-1110, May 1985

[3] 酒匂 裕,宮武孝文,嶋 好博,柏岡誠治,江尻正員
特徴パターンの分布に着目した位置認識アルゴリズム
電子情報通信学会論文誌D J71-D巻,7号,pp.1258-1266, July 1988

[4] H. Sakou, T. Miyatake, S. Kashioka, and M. Ejiri
A Position Recognition Algorithm for Semiconductor Alignment Based on Structural Pattern
Matching, IEEE Trans. ASSP, Vol. 37, No. 12, pp.2148-2157, Dec. 1989