日本のロボット研究の歩みHistory of Robotics Research and Development of Japan2009Business〈企業の研究開発〉無軌道自律移動ロボットによる検体搬送ロボットシステム
村井 亮介 | パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 |
酒井 龍雄 | パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 |
三谷宏一 | パナソニック株式会社 |
中嶋久人 | パナソニック株式会社 |
上松弘幸 | パナソニック プロダクションエンジニアリング株式会社 |
この論文は、ロボット研究開発アーカイブ「日本のロボット研究開発の歩み」掲載論文です。
概要・背景
開発、導入したロボットシステムは、ロボット誘導のためのガイド線を不要にした無軌道自律移動技術を生体臨床検査工程での搬送作業に高度応用した搬送システムである。複数の自律移動ロボットが、血液検体をストッカーから受け取り、適切なの血液検査装置へ搬送し、検査後は血液検体を回収ストッカーに戻すという一連の作業を行う。自動充電システムにより、電池残量に応じて各ロボットに適宜充電がおこなわれ、システム全体として24時間の検査要求へ対応を実現している。複数台のロボットの群制御、血液検査装置との精密なドッキングシステム、自動充電システムを実用化することで、臨床検査企業へ15台のロボットを用いた搬送システムを導入した。これからさらにニーズの高まる医療・健康産業を支える臨床検査作業は、正確さとともに、納期厳守で夜間に集中するため、ロボット導入による信頼性向上、効率化の効果は大きい。
特徴
搬送システムは、周囲の状況を認識しながら速度を制御し、必要に応じて障害物を回避して目的地まで到達することができる複数の自律移動ロボットと、設備の稼働状況や搬送要求とすべての自律移動ロボットの状況を把握して個々の自律移動ロボットに指示を出す監視制御装置から構成される。このシステムの特徴は、自律移動ロボットの局所的制御と、監視制御装置の大局的制御とのハイブリッド制御によって、それぞれに複雑なアルゴリズムを用いることなく、効率の良い搬送を実現していることである。導入事例において、このシステムの可用性、トラブルに対しての信頼性、人との共存が可能な安全性、レイアウト変更への対応が可能な拡張性を実証している。
2009年 第14回日本ロボット学会実用化技術賞受賞